繋がる時間

 シノは両目からぼたぼたと、大粒の涙を流していた。


「あ、あなたなんでしょ? さっき夢で見た、コルボ様だ。そうなんでしょ? 一体、どうして……」


 ジウは、息を呑んだ。

 男はシノを見て、表情が緩んだようにみえた。


「ハリの後継者か。本当に、よく来てくれた」

「俺、夢の中であなたのことを本当に大切に思ってた。ううん。違うね。俺じゃない。リューってコ。あの子、あなたにそのことを伝えたがってた。大好きだって」


「ああ」

 男は、ため息のような声でそう言うと、ゆるゆると天井を見上げた。


「リュー。ありがとう」


 そう呟いた後、男は目線をジウたちに向けた。


「ここまで、アータの記録書を読んで来たんだな」

 男は、ジウを見つめて言った。

 ジウはどきりとした。

「俺はジウ。ジウ・アータ。あの記録書は、俺が家で見つけて、この」

 ジウは、アヤの肩に手を置いた。

「この、アヤ・アルハが解読してここまで来た」

「アルハ。そうか、アルハ家の」

 男は感慨深そうに言った。


 シノが涙をぬぐいながら、こちらに戻ってきた。

「こいつは、シノ・ハリ」

 ジウは戻ってきたシノを指して言った。続いてユキを見ると、ユキは一歩前に出て自己紹介をした。

「はじめまして。コルボ殿でいいのかな? ユキ・キラナと申します」

 バカ丁寧に頭を下げてから、少し鋭い目つきで男を真っ直ぐ見つめる。

「聞きたいことがたくさんありすぎて、何から聞いたらいいか解らないくらいですが。あなたは何者なんですか?」


「君は、私が知っている人によく似ている。同じ瞳をしている」


 男はユキを見て、何かを懐かしんでいるような顔をした。

 それから、辛そうな顔になって、ユキの問いに答えた。


「そうだな。私は、カラスだ。君たちが、絵本で読んだ、あのカラスだよ」


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