江戸川乱歩の『人間椅子』を彷彿とさせる物語でした。書き手の視点の違和感を上手く利用して、読者に恐怖を芽生えさせる手法が、アマチュアの私としては参考になりました。
実際にあるかもしれない怖い話です。四六時中視線を感じるというのも、恐怖ですよね。本当に誰かが見ているのか。それとも気のせいなのか。そして、見ていたのは実は……。怖い話です。本当に。
こわいのは幽霊か、それとも人か。こわいのは目に見えるものだけではありません。。短い文章の中に、オチへと繋がるワードが散りばめられており、最後まで読んだ時、それらがピタッとはまり、ゾクゾクとしました。
いつも誰かの視線を感じるという早苗。相談しても頼りにならない彼氏の和人。恐怖に耐えきれずに、ホテルに泊まった翌朝……。最後まで読んだ瞬間、背筋がぞわっ、と寒くなります。
いるんですよ、ずっとね。読み進めていくうちに分かっていく真相。最後はぞくり。怖いですよ!
『誰か』の視線を感じ、怯える女性。それを恋人に訴えるも、彼はなかなか真剣に聞いてくれません。明日必ず行くから、と。けれど彼女は気味が悪いのでホテルに泊まると言う。そして、その翌日。事件は終わりのように思えましたが――。一件落着、と見せかけて、まだある!こういう余韻のある終わり方、大好きです。