第三話 Time to Dispute

「な…なんなんだよ…殺し合いデスゲームって………」



パソコン室で1人、呟いていた。

南沢 旭なんざわ あさひ。音哉の前の席で、音哉とはまあまあの仲だ。クラスでも明るいぞ。多分。

「さっき男の悲鳴みたいなのがしたからなあ…こええ……」


その悲鳴こそが、この殺し合いデスゲームにつきものである。


「えーっと、食料も自分で調達するんだよな。タイミングとかも重要だな」


Agehaはこう言っていた。

『食料とか衣服とかは配給されるから、自分で調達してくださいネ〜』

『配給する時に放送はしておきマス。場所は自分で探してくだサ〜イ』


単に殺すか殺されるかだけではない。そのまま隠れ続けていたら、飢えて死ぬ。



逃げることは許されない。



「そろそろ昼か…放送、されるのかな」

「でも、行ったら鉢合わせになるかもしれないわよ」

「そうだよなぁ……って!テルルじゃねえか!!」

「?」

「そんな〔?〕みたいな顔してんじゃねーよ!!こっちが〔?〕ってなるわ!!」

「ああ、ごめんなさい……でもどっちも武器を持ってないから」


政 照美まさ てるみ。学園では「テルル」と呼ばれている。


「なんでお前がここにいるんだよ」

「目が覚めたらここにいて、貴方が隣にいたの。何かあるかもしれないから、机にずっと隠れてたんだけど…気づかなかったの?」

「なんで気づかなかったんだ俺……」

旭はがっくりと肩を落とした。

「まあまあ…それで、今はお互いに武器を持ってないし、今のところはが安置じゃないかしら?」


廊下には人の気配がないから、恐らく参加者は1-3だけだろう。


「いや、あまり長居は出来ないぞ…?それに、誰かが来たら逃げ道がない。安置ではないかもな」

テルルは小さく頷いた。

「うーん……そうね、殺し合いって呼ばれているくらいだから、安置は無いのかもしれないわね…。」

「安置が無い、なあ……」


………。


((…まずい、暗い!暗すぎる!!))


なんとなく気まずい空気を作ってしまった。

なんとか空気を軽くしようと、2人に焦りが見える。

「あ、あのさ、テルル!」

「!な、何?」

「いや!あの、えーっと…」アセアセ

(なにやってんだよ…焦りすぎだよ俺…)

「……?」

(あーーー!!もうダメだ!おしまいだ!)

「……ふふっ」


テルルがクスッと笑った。

「貴方って…面白いのね」

「……あ、ああ!まあ、そうだな!」

(よ、よかった〜…なんとか空気を軽く出来た(?)ぞ…!)


ガラッ


スライド式のドアが開いた。


突然の出来事に、思わず2人の声が裏返った。

「やあ」

その男は微かに微笑み、近づいてくる。

「…お、おう、………っ。」

「……!」

テルルは声が出ないようだ。



出なくて当然だよ…



だって



あいつ、ナイフ持ってるもん。





音哉の隣の席であり、幼馴染みの桜庭 涼介さくらば りょうすけ


こちらに向かってきた。



……やるか。


掃除用具入れから金属製のちりとりを取り出した南沢とテルルは、戦闘態勢へと入った。





2:1の、殺り合いが始まった。

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Disputatione Kokurai @koku_1210

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