彼女の隣になりたい

大好きな人。好きな人。友達。知人。他人。赤の他人。


人は種類に分けられる。小学生の頃は友達だったのに、中学生になると少しどころか大人っぽくなってしまったいつも隣の席の「シグレ」という女の子。

僕は彼女を好きな人の候補に入れてしまい、勝手に片思いをしていました。

彼女とは普通に話す。でも、やたらと目をそらされる。


「もしや、嫌われた?」


心臓の音が途絶えそうだ。僕は彼女を見てたのか?無意識?妄想しすぎたか?


頭の中でグルグル回転した考えはまとまらない。


彼女は大人しくて、黒髪ロング、体育が出来そうに見えてドジっ子で全くの運動オンチ。どの女の子を比べても、色白で、目を合わせたらドキドキしてしまう。泣き顔を見てみたい。


図書委員会委員長の彼女と同じ委員会に入りたかったが、彼女に気持ち悪がられるのも嫌だし…ここで、手をあげたら…駄目か。二周目の時に手を上げれば「しょうがないから」と言い訳出来る。そうだ!


「図書委員会どうするんだ?シグレともう一人。やる奴いないか?」


「俺がやります。」


この一周目で手を上げればよかったと後悔した。一周目にして人気のない図書委員会の穴を埋められた。驚きだ。


あと、 僕の友人に手をあげられたことに嫉妬と自分に対してガックリ来た。考えすぎたあげく僕の友人に彼女を取られるなんて。溜息が出てしまう。友達を憎むことも出来ない。本当ならそのシグレの横に僕の名前があるはずだったのに…。


僕の名前が隣に書かれる予定だったところを埋めた友人は相変わらず元気だ。そんなこと僕には関係ないのに。


あのさ...

下駄箱で出会った僕の友人に何故図書委員会に入ったか聞いてみるとなるほどなと言いたくなる言い文だった。


「前の委員会の女子は一切教えてくれもしなかったけど、シグレなら教えてくれそうじゃん。優しいし」

そう言って、笑顔で帰った友人。

友人は自転車を押しながら向かった先には、バス停で待っている彼女が微かに見える。桜が風に吹かれて散り、彼女の足元には桜の絨毯が敷かれているようだった。

「君が好き」


チャンスはまだあると思ったが、もう諦めようと思った。意気地なしの僕にはきっと、僕の友人がお似合いかもしれない。彼女が好きでも、彼女が好きじゃなかったら意味ない。


夢を叶えたい思いだけは変わらない。





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