第2話

旭ヶ丘学校へ着いた私たちはまず校庭に張り出されているクラス分けの詳細を見に行きました。


「私はB組ですね。桜さんはどうでした?」

どうせなら同じクラスになりたいと思いつつA B C Dと4組の中では確率も低いと思い大した期待もせずに聞くと

「私もB組ですね。ふふっ。1年間よろしくお願いしますね。」

と笑いつつ返事を返してきた。


「やった!桜さんと一緒になれて嬉しいです!こちらこそよろしくお願いしますね!」

「じゃあ早速教室に行きましょうか。百合さん。」

「待って下さ〜い!」と桜さんを追いかけて私たちは教室に向かいました。


教室の扉を開けると既に何人か席に座っていました。私は家から離れた高校を選んだので知り合いはいませんが、桜さんはどうなのでしょう?


「あの、桜さんの中学からの友達とかってこの学校にいますか?」

「いえ、私は高校を家から離れた所を選んだのでいませんね。百合さんはどうですか?」

「私もです。という事はお互い知っている人がいないんですね。」

「そういう事ですね。誰も知っている人がいない所で上手くやっていけるか不安でしたけど、百合さんと仲良くなれて良かったです。」

「私もです!桜さんと仲良くなれて本当に嬉しいです!」


と会話をしている内に席が埋まって来ました。既に決められた席に座るだけなので焦る事はありませんが、早めに座っておいても良いでしょう。


「私の席は。え〜と・・・」

中々自分の名前が見つからず座席表とにらめっこしていると、

「百合さんは窓側の一番後ろの席ですね。」

「あ、桜さんありがとうございます。桜さんの席はどこに・・・てっ、ええ!」

私は桜さんの席を見て驚きました。なんと私の隣の席だったのです。


「私たち、何かと縁があるみたいですね。」

と桜さんも少し驚いていました。


そんな事をしている内にチャイムが鳴り先生が教室に入ってきてホームルームが始まりました。


ホームルームの内容は先生の自己紹介から始まりこの学校についての手紙を配ったりとありきたりなものばかりでした。

校内放送が流れ体育館への移動が始まりました。早速グループを作り移動している人達を見かけます。


「へぇー、もうすっかり打ち解けている感じですかね。私たち出遅れちゃいましたかね?」

「私は百合さんさえいてくれればそれでいいので全然大丈夫ですね。百合さんがそうじゃないって言うなら適当に話しかけてみますか?」

「ハイハイ分かりました。私も桜さんがいてくれるので大丈夫ですー。」

と流しつつ私は(やっぱり桜さん目立つなぁ)と思っていました。


そう、桜さんはとても目立つのです。理由は言わずもがな、高校生とは思えない大人びた雰囲気を持ち、すれ違う人全てが振り返り見てしまう程の美しさを兼ね備えているからです。


その容姿がかえって話しかけづらくなっているんでしょう。


「はぁー。綺麗すぎるのも問題か・・・」ボソッと呟くと

「聞こえてますからね!うぅ、百合さんは私の事邪魔とでも思ってるんですか!?」

「ち、違います!違うんです!桜さんの事大好きですよ!大切な友達だと思ってますよ!今のはホント違くて!」


私は慌てて少しおかしな事を言ってしまった気がします。桜さんの事を怒らせてしまったと思った私はそぉーっと桜さんの顔を見ると、予想とは外れて桜さんは顔を真っ赤にしていました。


「桜さんどうかしましたか?」

「えっと、その、あの・・・」

ボソボソと喋っていてよく聞こえなかったので聞き返すと

「好きって、大切な友達って・・・その、嬉しく・・・」

そういえばそんな事言ったような言ってないような。急に恥ずかしくなってきた私は

「違いますよ!あれですあれ!ほら好きとか大切ってあくまで友達の中でって意味ですよ!」

「えっ?あっ、そうですよね。はい!分かってましたよ!」

桜さんは1度ガッカリしたように見えたが、すぐにいつもの感じになりました。


「じゃあ早く体育館行きましょうか。入学式に遅れちゃいますよ!」桜さんがそう言い私たちは並んで歩き、体育館に向かった。

でも、何でなんだろう。(好きとか大切ってあくまで友達の中でですよ!)そう言った時私は胸が苦しく感じたのは何でなんだろう。





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私が出会った女の子 @noah0608

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