【小説】『錆喰いビスコ』を読みました。濃すぎて胃もたれしそうなくらいの濃厚SFアクション

2021年5月28日






 ゴールデンウィーク期間中に電子書籍サイト「BOOK☆WALKER」でキャンペーンが開催されていまして、KADOKAWA系サービスということもありKADOKAWA作品が値下げ、さらに太っ腹なことに全作品でコイン(サイト内ポイント)大幅還元など、BOOK☆WALKER利用者には嬉しいセールでした。


 自分もこの機にいくつか電子書籍を購入し、……現在積読してます。買うだけ買って読めてないです。電子書籍なので電子積読。


 とはいえ少しずつ消化していまして、今回はゴールデンウィーク中に購入した作品のうち一作について。以前からタイトルだけは聞いたことがあり、またテレビアニメ化も決定しているライトノベル『錆喰いビスコ』。値下げされてるしコインいっぱいもらえるので買っちゃいました。









  書籍情報



  著者:瘤久保 慎司


 『錆喰いビスコ』


  KADOKAWA 電撃文庫より出版


  刊行日:2018/3/10



  あらすじ(Amazonより転載)

 すべてを錆つかせ、人類を死の脅威に陥れる“錆び風”の中を駆け抜ける、疾風無頼の「キノコ守り」赤星ビスコ。彼は、師匠を救うための霊薬キノコ“錆喰い”を求め旅をしていた。美貌の少年医師・ミロを相棒に、波乱の冒険へ飛び出すビスコ。行く手に広がる埼玉鉄砂漠、文明を滅ぼした防衛兵器の遺構にできた街、大蛸の巣くう地下鉄の廃線―。過酷な道中で次々に迫る脅威を、ミロの知恵の閃きと、ビスコ必中のキノコ矢が貫く!しかし、その先には邪悪県知事の奸計が―。第24回電撃小説大賞“銀賞”に輝いた、疾風怒涛の冒険譚!








 電撃大賞受賞作品ですが、確か受賞作紹介のときに「~のファンタジー!!」みたいなことが書かれていたような気がしまして、表紙も弓構えたイラストですから、「本格のハイファンタジーかな?」と認識しスルーしていました。


 そして今年の三月頃に『錆喰いビスコ』テレビアニメ化が発表され、PVも公開されたので見てみたところ、「これ、SFじゃね?」と。そこから興味を持ち始め、BOOK☆WALKERのセールを機に読んだ次第。



 で、実際に読んでみたところ「思っていた以上にSFだった」というのが最初の感想。文明崩壊した日本を舞台にした所謂ポストアポカリプスであり、巨大生物兵器なんかも登場し、果てにはラピュタ的というかナウシカ的な展開を見せるストーリー。







 そんでもって強キャラ主人公が戦いに挑むのですが、弓とは別にまさかのキノコを駆使して戦う斬新さ。「ちょっとキノコ万能ずぎねぇ?」「キノコ使い勝手よすぎるだろw」と突っ込んでしまいたくなるほどのキノコ尽くし。


 そうした主人公自身の強さとキノコの組み合わせからくる怒涛のアクションの連続で、ホント最後まで飽きさせることなく絶え間なく勢いを叩き込んでくる作品でしたね。


 正直勢い強すぎて読んでいて疲れるというか、ラーメンでたとえると二郎みたいな、要素が濃すぎて胃もたれするくらいの濃密濃厚な内容だったような気がします。もしくは音楽でたとえるとマキシマムザホルモンみたいな感じ。まあ薄味よりは全然いいのですけどね。二郎のマシマシ呪文みたいな「ちょっと要素盛り過ぎじゃね?」というのが『錆喰いビスコ』を読んだ素直な感想です。







 あとこの作品はバディものでして、主人公の赤星ビスコとその相方となる猫柳ミロという美少年とのコンビで話が進みます。


 で、このビスコとミロのコンビなのですけど、もちろん熱い友情の描写がされているのですが、その、解釈次第で「BLじゃね?」と感じてしまうくらいのシーンもあったり。


 いやまああくまでバディものであって、別にBLを狙っているわけでもなくブロマンスでもないんですけど、でも読んでいて「君たちそっちの気でもあるの?」と思わずにはいられない場面がチラホラ。


 主人公のビスコはまだいいとして、相方のミロはもしかしたらホモなのでは? ミロのビジュアルとしても女の子みたいな美少年という設定なので、もしかしたらBL的な受けとして適任なキャラなのではないのかと思いました。



 いやーこれ電撃文庫でしょ。電撃でBLっぽいものを出すとは……。


 いやまあ、あくまでバディものなのですけどね。



 でもこうしたミロの立ち位置って、従来のライトノベルであれば、間違くなく美少女ヒロインが担っていたポジションかと思います。確かにこの『錆喰いビスコ』も、もし仮にミロが女の子設定であれば、怒涛のSFアクションを展開しつつもボーイミーツガール的なラブコメ要素も描けたのではないかと思いますし、ライトノベルとして書くのであればそちらの方がターゲットとなる層が広がりそうではあります。


 だがそういった固定概念というか、あえて王道を少し外すといったものは確かに挑戦的でもありまして、そういった意味であれば新しさを感じさせた作品でもありました。



 いやまあ、一応念押ししますけど、バディものです。







 という感じで、終末でナウシカでキノコで微BL(バディものです!)からくるSFアクション作品の『錆喰いビスコ』。味が濃すぎて斬新だったなー、という読後感でした。



 文体が映像向きな書き方をされていたので、映像化したら映えそうな印象を抱きました。アニメの放送時期は……いつなのでしょうか。ド派手なアニメーションを期待したいですね。









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