【小説】『千歳くんはラムネ瓶のなか(2)』を読みました。やっぱ七瀬なんだよなー。うん、七瀬いいよねー。

2020年12月2日





 少し前にライトノベル『千歳くんはラムネ瓶のなか』を読んでこちらで記事にしました。で、自分は大抵の場合ライトノベルの第一巻目を読み終わったらそれで満足してしまうタイプの人間でして、二巻目はとくに読む予定もありませんでした。まあ人気のある作品のようですし、というかこの前発表された『このライトノベルがすごい!2021』でも首位になるくらいですから、そのうちアニメ化もするだろうし、アニメ化するのであればアニメ放送時の楽しみとしてとっておこう、みたいな。


 ただふとシリーズの表紙を見たとき第二巻目の表紙が七瀬でして、一巻を読んで七瀬を気に入った自分としては「七瀬回かー。……読むか」みたいな感じで珍しく二巻目を手に取った次第。七瀬、七瀬いいキャラしてるんだよねー。



 というわけで今回は七瀬編『千歳くんはラムネ瓶のなか(2)』。








  書籍情報



  著者:裕夢


 『千歳くんはラムネ瓶のなか(2)』


  小学館 ガガガ文庫より出版


  刊行日:2019/10/18



  あらすじ(Amazonより転載)

「千歳しかいないの。どうかお願いします。私と付き合ってください」面と向かって女の子にこんなことを言われたら、大概悪い気はしないだろう。それが、七瀬悠月のようなとびっきりの美少女ならなおさらだ。でも、うまい話には大概裏がある。美しい月の光が、ときに人を狂わせるように。―これは、そうして始まった、俺と七瀬悠月の偽りの恋の物語だ。人気沸騰の“リア充側”青春ラブコメ、待望の第2弾登場!









『千歳くんはラムネ瓶のなか』第一巻では、超絶リア充の主人公が自身のグループの協力を得つつ引きこもりオタク陰キャをプロデュースする、といった内容でした。


 ライトノベルをはじめとするオタクカルチャーにおいて何かと悪役になりがちであったリア充を主人公にした作風は物珍しさがあり、そこからくるリア充の美学や俺TUEEEな展開など、一味違う青春ドラマがあって面白かったです。



 そして続く第二巻では、一巻目の設定を維持しつつも(シリーズものだから当たり前だが)、陰キャをプロデュースする話とは違い同じリア充グループのお仲間の問題を解決する話となります。


 まああらすじにもあるように、偽恋人の関係が偽物ではなくなっちゃうー、的なラノベらしいオチが想像できてしまいますが、そういう観点からも第一巻目よりはラブコメ成分多めな内容でした。一巻目は恋愛要素がほぼほぼなかったので狭義のラブコメではなくあくまで青春ドラマの範疇でしたが、今回は実にライトノベルらしいラブコメといったところ。





 今回の二巻目では、チーム千歳の中でも超絶美少女七瀬悠月がストーカーされてるっぽいから主人公千歳と偽恋人を演じるという、いってしまえばストーカーが登場するタイプのお話としては王道べたな話。


 とはいえ悪化していくストーカー被害からの対応、相手の思惑の推測、そして事件の解決と真相など、内容的にはどちらかといえばミステリー風味になっている具合。


 とはいえそこまで真面目に難解にミステリーしているかといえばそうでもなく、あくまでライトな謎解き要素といったところで、読んでいるうちになんとなく察してしまえる程度のミステリー要素ですかね。ミステリージャンルの作品でもありませんので、この具合のライトさであれば本筋の学園ラブコメ要素や青春ドラマ要素の邪魔になることなく、程よい読み応えを演出してくれている感じかと思います。







 そしてなにより、複数いるヒロインのうち一人にスポットを当てたいわば個別回である今回は、一巻ではサブ要員であった七瀬悠月というヒロインを掘り下げた内容がメインでもあります。


 一巻での七瀬は「とにかくいいキャラしている!」という印象のヒロイン。会話などでの切り返しが秀逸で、コメディ的に一癖も二癖もあって面白い。かと思えば心のうちに秘めたものを明かさない、ある種の打算からの腹黒さもあり、掴みどころのない一面はなかなかに強キャラ感がありますね。手強い相手としてのキャラ立ちが素晴らしい人物だと思います。


 そんな七瀬も女の子で、女の子としての難題にぶち当たるのが今回のお話になります。主人公千歳を含め頭脳派七瀬が直面する、理屈が通じない相手、得体の知れない謎の相手、それらと相対したときに現れる素の部分を描くことで、より七瀬悠月というヒロインを掘り下げる仕組みになっているところ。


 このあたりがなかなかに癖があって、一巻目では表面的な一面しか見せていなかった七瀬が、続く第二巻で見せた素の女の子の一面は意外性はあるものの、「七瀬ってそんなキャラだったの?」といったよくも悪くもギャップが生じるものであり、七瀬悠月という人物の印象が大きく変わるお話になっています。


 実際自分も読んでいて「これ一巻に登場した七瀬と同一人物なのか?」と感じ、一巻で七瀬推しとなった身としてはちょっと複雑な気持ちになりましたね。ただまあそれこそ七瀬悠月の意外だった一面、むしろ素の部分を読み解くことができたので、二巻はいち七瀬推しとして素直に楽しめました。




 というか! 二巻の内容が完全にエロマンガのシチュエーションやんけ!


 いやだって、ストーカー展開とか、悪い先輩に絡まれる展開とか、それNTR系エロマンガで散々見てきた! FA〇ZAにいっぱいある!


 ちょっとね……そういったエロ作品を読んだことがある自分としては、「アレもしかして……七瀬NTRなの?」って感じで七瀬推しとして読みながら脳が破壊されそうでした。


 なんだろう……七瀬の薄い本を勝手に期待します(自滅)。アニメ化したら増えるかなー、七瀬の薄い本。







 そんなわけで脳が破壊されそうになりながらも最終的には大団円で終わりホッとした読後感を得た第二巻目。最後まで読んだらとても面白かったです(途中で読むのをやめてたらそのまま脳が破壊されていたかも)。




 やっぱりねー、七瀬なんだよねー。七瀬、七瀬いいキャラしてる。





 という感じで今回は『千歳くんはラムネ瓶のなか(2)』についてでした。









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20年11月8日公開

【小説】『千歳くんはラムネ瓶のなか』を読みました。リア充の美学で陰キャをプロデュースする俺カッケー!!

https://kakuyomu.jp/works/1177354054886711486/episodes/1177354054935170970










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