第10話

高校を卒業した後、俺はヒーローショーのアクターになった。

 初めは悪役Aだったけど、少しずつステップアップして今日はついに主人公デビューだ。

 「たっくん。私も後で見に行くからね」

 「ありがとう。今日から俺はレッドだからな。応援する相手を間違えるなよ」

 「大丈夫よ。たとえ顔が見えなくてもたっくんはサイズでわかるもの」

 「うう……それは言うなよ」

 「それより心配なのは……ヒロインの子が可愛いってことかしら。ふふふ」

 「ちょっと! 闇が生まれちゃってるから!」

 「なーんて冗談よ」

 基本的に強い光属性を持つ光は、時折闇が生まれてしまう。それをどうにかするのが俺の役割でもあるんだけど……。

 「たっくん、念願のヒーローだね」

 「思ってたのとは少し違うけどね」

 ショタ属性を持つ俺は外見だけでなく肉体年齢も若いことが、周りが老け込んできたことによって判明した。だからこそ、今の仕事を長く続けられている。

 「ヒーローショーを見て勇気づけられた子供達がきっとたっくんみたいなヒーローを目指すんだよ。未来のヒーローを育てるヒーローみたいな?」

 「そう言ってもらえると嬉しいよ。こんなチビでも悪者を倒せるってところを見せつけてやる!」

 「その意気だ! たっくんの属性力を存分に見せてやれ!」

 「いや、俺の属性はショーでは役に立たな……いや、そんなことはないか」

 「気付いた? だって私はヒーローを支えるお嫁さんだよ?」

 たっくんのお嫁さん属性。光のお婿さん属性。

 周りから見たらバカだと思われるかもしれないけど、俺たちはこんな属性を自称している。

 でも、こうやってお互いを想える属性を信じることで夢を叶えられた。

 属性の可能性を信じて、俺は今日、みんなのヒーロー属性を手に入れてみせる。

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属性は何を選択すればお嫁さんにしてくれますか? くにすらのに @knsrnn

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