有澤は静止画から創作する。

 ㈲アリサワ御取引先・H様『強いて言えば「一枚絵」があって(モチーフ画というべき?)』という創作についてが、聞きたいです。


 というリクエストを賜ったぜ。やっふー!

 ちなみにここ数日はリアル業務多忙につき沈んでいました。ごめんな!


 ということで、積極的に宣伝をしつつ創作のお話をしたいと思います。()

 今回は変な断定口調やめるよ、ですます調だよ。


 ***


 H様と創作談義中に、アニメーションから文字に起こすとか、そういった話をした記憶があります。私は創作するとき、自分の描くシーンが動くという感覚がないので、バトルなどは動きが止まって見えてしまうんですねと話していたのです。

 皆様は創作をするとき、どうやって文字に起こしているのでしょうか。脳内に動画があってそれを文字にするのか、キャラクターをボイス付きで脳内再生しているのかどうか。


 有澤の場合は「脳内に一枚絵があって、それを心理描写含め押し広げていく」感覚です。


『失意のアタラクシア』を例に見ていきます。(露骨な宣伝はエッセイの特権って有澤聞いてる)

 https://kakuyomu.jp/works/1177354054885985666


 ネタバレは避けますが、主人公・ウィスタリアとヒロイン・リリーの出会いの場面。あそこで言うのなら私の中にはスチルみたいな感覚で、「部屋にふんぞり返っているリリー」が存在しているわけです。ただ、この段階でリリーは動きません。扉を開けたらリリーがいた、その場面だけが脳内に静止画として存在しているのです。


 じゃあ、どんな顔をしているのだろう。

 その「静止画」を観察します。リリーは見た目から強烈で、世界観からもやや逸脱したツインテールホワイトロリータです。(ロリータ明言してないけど)フリルをあしらったミニスカートは傘みたい。ツインテールはウワキツ感があるけど、十代の年若い女の子だしあざといな! みたいに、私の感想を含めて「観察」です。

 表情は可愛く甘い外見とはアンバランスに、挑発的。うんうん、見た目のわりに食え無さそうな女だ!


 外見の描写はこうして膨らみました。では、そんなリリーがいる部屋はどんな空間か。情景描写などに変わりますね。

 牢屋から彼女のいる部屋に移動するので、薄暗くて陰湿な雰囲気は変わらず。でも牢屋よりは待遇のいい感じで(会議室でした)、四隅には灯りがついている。文明的に電気は存在しないから、松明で灯りをとろう。

 会議室は兵隊が話し合いをするから、武器や地図も必要だ。武器は壁にかけておこう、地図は木製の机に広げておこう。地下でそこまで上等なものを置く余裕はないから机は木製なんだ。武器は下級の兵隊が持つような質の悪いものが置いてある。

 といった具合に一枚絵に「書き込み」をしていく感覚、でしょう。


 外側の描写はこれでおわり。セリフはそういった空間で彼・彼女が何をしゃべるか? キャラクターは私の手を離れて喋ることがほとんどなので、ハコを用意すればキャラクターは勝手に喋ってる感覚があります。


 心理描写についても、同じ方法で「書き込み」をしています。

 さっきので言えば、『失意のアタラクシア』はウィスタリア視点の一人称小説ですのであの絵を見た時ウィスタリアは何を思うか? を書き込んでいきます。

 牢屋からじめっとした会議室に通されて、出会ったのはその場にそぐわない可憐な少女。まず「似合わないな」と思うはず。右も左もわからない状態で、突如巡り合った少女に対して、何をどこまで信じていいのか。彼女は敵なのか、味方なのか。疑問符ばかりの彼の胸中は不安が支配しているのでは。でも牢屋生活よりはマシだとか考えてるのかな? 性格的にリリーに見惚れるとかはなさそうだ、物珍しさはあるかもしれないが。

 などなど、掘り下げていくことでウィスタリア視点の二人の出会いが完成するわけです。


 本当は強烈な一枚絵のシーンがあるのですが、それ、「残酷描写あり」に分類されちゃうのでやめておきます。()

 私の創作方法が何かのお役に立つかはわかりませんが、以上、参考までに。感覚のひとつとして。


 今回のようにリクエストという名のネタふりをしてくださると、有澤、意気揚々と長文で語るので気がむいたらお願いします。

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