咽び

尾巻屋

むせび

神は、得てして残酷なものである。


人を思い上がらせては突き落とし。希望を見せては絶望を突きつける。

一度褒められたものはそのさらに上、優れたものに叩きのめされ、泣きっ面に蜂とばかりに転落の恐怖を経験する。


神は、得てして非道なものである。

神は、得てして冷徹なものである。


それとも、これが世界の理なのか

熱力学第二法則とも呼ばれる悲しき定めなのか。

盛者必衰なんて言葉もあったか。


ああ神よ。世界よ。宇宙よ。

この寂しい物語に名前をつけるならばなんとする。

鮮やかな発色が、セピア、灰色と褪せていくこの惨めな話にせめてもの慈悲を与えるならばなんとする。


泣き寝入りを決め込んで、明日の朝日を恨む。

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咽び 尾巻屋 @ruthless_novel

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