不可思議な数の世界を擬人化した物語

この小説の主人公は自然数のN.。あの働く細胞の赤血球のようなドジな新米女性従業員。はじめてやってきたホテルで右往左往する。そこでであった四則演算のたーちゃん、かーちゃん、ひいちゃん、わーちゃんはさしずめ血小板ちゃんといったところか。そう書いたけど、これは決して働く細胞のぱちではなく、作者の独創が光る物語。なんせ舞台は勝手知ったる人体ではなく、純粋なイデアの領域である数たちの世界なのだから。
文章は読み易く、物語を読み進めるうちに、テーマについて誰でも理解できるのは面白い。もちろんこのテーマ以外に興味深いものがいくらでもありそうなので、そんな不思議な世界を自然数Nとともに旅してみたい…物語の続編をぜひ読んでみたいです。