おっとりと、もう一度
綾太は夢を見た。
世那と七里ヶ浜で水遊びをする夢。
それが、驚くほどに美しかった。
忘れられぬ光景、忘れては駄目な笑顔。
何もかもが、尊く映っていた。
そして、夢から覚めた綾太の頬には、涙の跡があった。
そんな夢を見た綾太は、なんとなく朝一番で七里ヶ浜にやってきていた。もしかしたらなんて思わなかったけど、なんとなく、心の片隅に残った何かに動かされるように。
いつの日も変わらない七里ヶ浜、本当は七里もない七里ヶ浜。砂浜に、青い海。いつも通りの水面に、朝焼けの光が乱反射する。
そんな早朝の七里ヶ浜に、綾太は海を見つめ続ける人影を見つけた。サーファーとは思えないような輪郭をした人影に、綾太は少し興味を抱いた。
「何をしてんだ、俺は」
綾太は、砂浜を歩いた。考えるより先に、体が動いた。
一歩一歩、足跡を残して歩いた。不安定な砂浜で、しっかりと踏みしめながら。
そうすると少しずつ大きくなる人影に、綾太は既視感を抱いた。
「いやいや、まさかな」
一パーセント程度のもしかしてを胸に、綾太は歩みを少し早める。それに呼応するように、心臓の鼓動も早くなっていく。
次第に大きくなる人影は、綾太の脳内に情報を少しずつ増やしていく。白いセーラー服を着て、そして大きなサイドテール。少しずつ、綾太のもしかしてが確信に変わっていく。
間違いない、その少女を、綾太は知っていた。
そうやって綾太が近づくと、少女は気配を感じて綾太の方へ振り向いた。
「あの、どこかでお会いしたことありましたっけ」
セーラー服の少女は穏やかに、初対面のはずの綾太を見つめた。あの
パラレルワールドは、アナザーゴーストの夢を見ない チタン @__Ti22
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