5-3 結婚は人間が造り出した社会システム

よむ子:「必要だから愛するなら、相手が与えてくれるものを愛している」って、すごい言葉ね。


A:愛は無条件なんだから、相手自身を本当に愛しているなら、相手に何も要求しないものだといってるんだね。


よむ子:でも、何も要求しないなんて、あるのかな?


A:今の人間性のレベルでは無理かもね。そのレベルまでいってないから、現実の愛情関係にはいろいろ問題が起きているんだね。


 現実的には、「愛すると同時に必要とする」ぐらいがいいとこかな。


よむ子:何も求めないなんて無理そう。


A:愛情について、『神との対話』には、おもしろいやり取りがあるんだ。


 神が「人間の愛は無条件かつ無制限だ」といっていることに、著者のニールが反論してるんだ。


 「人間の愛が無条件かつ無制限だとしたら、特別な男女(夫婦のこと)の愛も、無制限になってしまう。そうなれば一時に複数の人を愛するという、いわゆる愛人関係(俗にいう不倫)が許されて、社会道徳は混乱してしまいますよ」とね。


よむ子:う-ん、確かに。それでその答えは?


A:「それは人間自身が決める価値判断であり、神は観察しているだけで、良いとも悪いとも判断しない」と、神は答えているんだ。


よむ子:良いとも悪いとも判断しない?


A:そう。「神は価値判断しない」というのが、『神との対話』全体の一貫したスタンスだよ。


よむ子:神は価値判断しないの?


A:そう。しない。神が価値判断したら、人間の自由意志をそこなうことになるからね。


 価値のことは、大切なことだから、また別の機会に話すことにするよね。


よむ子:はい。


 神が判断しないということは、それもありということ?


A:そうじゃない。もう少し深い意味があるんだ。


 結婚という制度は、夫婦愛の永続を目的として人間が造り出した制度なんだよ。


 その、人間が構築した「結婚」という社会制度から、何を、どう体験するかは、人間自身が自由意思をもって決めることだというんだ。


 その制度がもたらす体験が人間の成長に役立たないなら、自分たちの手でそれを改めればいい。そこに神は口出ししないといっているんだね。


よむ子:結婚のあり方でも、人間の自由意志を尊重するということね。


A:そう。「人生は、人間が自由意志によって神性を体験する場だ」ということからすれば、これは当然のことだよね。


〈つづく〉


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