4-2 経験をいちばん直接的に実践できるのが人間関係だ
よむ子:現実世界はみんな相対的なのね。
A:そう。人間も例外ではないよ。男-女は相対的だよね。わたし-あなた、わたし-富士山もそうだね。
それに関連する大学生を対象にしたおもしろい実験があるよ。
光も音も五感に入るものが全くない個室に、1人1人別々に入ってもらった。周囲からの情報なしで、何日くらい耐えられるかという実験だよ。
何日くらいだったと思う?
よむ子:3日くらいかな。
A:短い者は1日でギブアップ、長くて3日くらいだったんだよ。
よむ子:そんなに短いの!
A:人間は、周囲からの情報がないと生きられないことが分かるよね。
よむ子:他のものと関係をもって生きているということね。
A:そのとおり。
よむ子:人間どうしの相対関係が人間関係なんだ。
A:『神との対話』では、「経験をいちばん直接的に、力強く、純粋に実践できるのが人間関係という場だ」といっている。
よむ子:どういうこと?
A:人間関係は、さまざまな体験をするための最適なチャンスを与えてくれるところだ、ということだよ。
よむ子:……。
A:人生の目的は何だったかな?
よむ子:たしか、神性を体験するとか……。
A:そう。人生の中で起きるいろいろな出来事を使って、無数にある神性を体験しているんだったね。
出来事は、人間関係という場で起きることが、一番多いんだよ。
よむ子:人間関係以外だと?
A:自然環境との関係が代表的なものかな。例えば農業、漁業、林業などは、まさに自然が相手だよね。
だけどそこにも、同僚や同業者がいたり消費者がいたりで、結局、人間関係があるよね。
よむ子:ほとんどのところに人間関係ってあるんだ。
A:そうそう。だから人生の出来事は、人間関係で起きることが一番多いということがいえるよね。
よむ子:具体的な人間関係は?
A:家庭、学校、会社、地域社会などさまざまな所に、人間関係は存在している。
そのうちでも、最も基本になるものは家庭だね。 そこには、親子、夫婦、兄弟姉妹という人間関係がある。
よむ子:それが広がると社会になるのね。
A:そう。家庭が拡大されていって、隣人関係、会社での同僚や上司と部下の関係、学校での教師と生徒の関係、国家での政府と国民の関係など、次第にその規模が大きくなって行く。
よむ子:世間は人間関係だらけね。
A:(笑)こういう上下、左右、前後の人間関係が網の目のようになって成り立っているのが、この人間社会なんだね。
人間は、この人間関係の中で提供されるさまざまな出来事に対し、どう対応するかを自分で決めることによって、自分自身を表現し、成長させていってるんだ。
よむ子:人間関係が一番大変だとよく聞くわ。
A:そうだね。人間関係が、もっとも濃厚な出来事を、一番多く提供してくれるからね。
ただ見方にもよるよ。それをわずらわしいことと考えるか、自分の成長にとって絶好のチャンスだと考えるかで、大きく変わるんだ。
すべての人間関係が、自分を創りあげる絶好のチャンスだとはっきり理解できれば、すべての出会いは、素晴らしいものだと思うようになるんだね。
〈つづく〉
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