桜々中はスランプです。

桜々中雪生

桜々中はスランプです。

 アイディアはふっと浮かぶのに、線香花火のようにすぐに落ちては消えてゆく。身の回りには材料がたくさんあるというのに。


 ──まさか、スランプでは?


 そう気づいたのがつい先日のこと。そういえば、まったく筆が進まない。執筆中の小説を開いても、その目の前で固まってしまう。

 言葉が浮かばない。この場面に、この子たちに、ふさわしい言葉が。心は、書きたい、書きたいと急く。頭がそれに追いつかないのだ。しかしこのところ、書きたい、ではなく、書かなければ、と考えていた自分に気づく。強制してしまえば浮かばなくなるのも頷ける。締め切りを設けるのはよいことではあると思うが、桜々中の場合、締め切りに合わせることに重きを置きすぎてしまい、内容が疎かになりがちである。ゆえに、今は自分の中で締め切りを作ることはするまい。そして、ためていた本でも読みながら、のんびりと、彼らが桜々中に彼らの物語をそっと耳打ちしてくれることを待とう。


 ……エッセーを書くつもりだったのだが、これは、桜々中の徒然日記かもしれない。

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