桜々中雪生

　ある夏の日、俺の息子が死んだ。見るも無残な姿で。俺の、幸せの模範みたいだった家庭は崩れ去った。－－ああ、俺も連れて行ってくれ。 　彼岸花、もうひとつの譚。

　何が何だかよくわからない。なぜか、教室の中では銃撃戦が繰り広げられていて、友だちが、クラスメイトがばったばった倒れている。一体全体、何が起きているの？　昨日まで、普通の生活だっ…

　ずっと訪ねていなかった故郷に帰ってきました。もう誰も住んでいませんが、私にとっては、たっくんとの思い出がたくさんある、大切な場所です。私とたっくんは幼馴染でした。いつも一緒にい…

　お盆も過ぎた頃に、神社の境内で夏祭りがある。不思議な人たちがたくさんいて、僕はとても楽しいんだ。

　僕が恋しているのは、ショートカットの可愛い女の子。その子から、バレンタインデーなんて特別な日に屋上に呼び出されて、どきどきしながら待っている。もしかして……なんて淡い期待を抱い…

　節分。春の来る前に、邪気を祓い、福を呼び寄せる日。笑い合っていた姉弟は、その恐ろしさを知らなかった。 　皆さんも、伝統行事にはあまり悪ふざけしない方がいいかもしれません。

身体から、心へ。 それぞれの愛を描くオムニバス短編集。

　傷痕《スティグマ》。それは、絢子の胸に消えることなく残った。 　子に恵まれず、自分の子を授かるのを待つ楽しみすら奪われ、孤独に、生きていかなければならない。絢子は、暗闇の中を生…

　ただひたすら想っていた。花が咲いたように笑う君を。今までだってこれからだって、それは変わらないと思っていた。だけど、君が成長していくうちに、それは間違いだったと知る。 　幾つも…

「猫の死体がある」 　友人は言った。 　本当だ、死骸がある。 　私は思った。

　浜辺へ流れ着いたものを拾った。そこには、ひとりの男の訥々とした呟きが綴られていた。誰にも打ち明けるつもりのなかった、男の心の内をみる。

　眠るという行為、そこに閉じ込められる自分という存在。それがどういうものなのか、決めてくれるものはない。 　ならば、眠る人とは、私とは、一体何なのだろう。

　七夕の夜、地上の生き物たちのはるか頭上、彦星と織姫は一緒に暮らしたいという望みのためだけに、あの手この手を尽くす。果たして、天帝のお心はいかに……？ 　七夕ギャグ短編。

　それって、変だよ。 　ふたりの歪んだ倫理が、周りの音を消して、ふたりだけの世界をつくる。

　桜々中が「きれい」だと感じるものを感じたままにつらつらと書き綴る作品集。 　おおよそ無題。冒頭にタイトルらしきものをつける場合も。 　これを読むあなた自身が、好きなようにタイト…

　金が欲しい老人、恋に恋する少女、少年心を捨てきれない男。さまざまな欲望や想いを抱えた人々を描くショートショート。

　夢を見た。とても嫌な夢。だけど、愛していたような気がするの。

　あの子の唇は、まるで砂糖菓子のようだった。ふわりと軽くて、とても甘い。はじめてのキス。ふたりぼっちの空間。わたしたちだけの秘密の時間だ。 　初めて恋を知る、少女たちの物語。

　2018年ありがとうございました。2019年もその先もお願いします。 　ということで、桜々中テイスト強めの作品を年の瀬にひとつ。

「おやすみなさい」 　パパとママは寝る時間。 　わたしは誰にも言えない遊びをする。 　少女の性への目覚めは、真夜中の遊戯となって、彼女を虜にする。

　暇はあるのに、書けない。桜々中は焦っています。スランプから脱しようとすればするほど嵌まってしまうのはわかっているのですが。 　そんなもやもやを、言葉にして、表現力でも磨こうか。…

　愛と憎しみは対極にあるのだろうか。それとも、同一線上、あるいは同じ点の上かもしれない。何をもって愛と呼ぶのか。男は、霧に包まれて模索する。 　ショパンのピアノ曲「練習曲作品10…

恋とは、愛とは、なんであるのか。 ひとつは熱く脆く、もうひとつは、ぬるく、やわく、強い。 これを読むひとが、それに気づけることを、願うエッセー。