唯一の肉親であった祖父の死をキッカケに、携帯電話すら通じないド田舎『神居村』へと引っ越してきた『七支杏矢』。そこで出会った『咲耶怜』や村人達と共に、日常茶飯事となっている『怪異の出現』に立ち向かう。
ターボババアや口裂け女など、有名な都市伝説や怪異の出現が当たり前かつ、町内放送でそれを呼びかけたり討伐終了を知らせるアイデアが面白い作品だったと思います。
そしてそれ以前に、まず何よりも『夏』の空気感が最高でした。
蝉や蛙の声、駄菓子屋のラムネ、夏祭り、吹き抜ける風の感触や匂い……そしてボクっ娘ヒロイン。古き良き日本の田舎で過ごす夏、その爽やかでいてどこか寂しさもある雰囲気が終始流れ、まさに『夏の青春』を味わえる名作です。
それでいてヒロインとの関係が良すぎる。あまり多くを語るとネタバレになりますが、全ての物事が解決した後に訪れる3連続エピソードは甘酸っぱさが溢れており、危うく過呼吸を起こすところでした。尊みに満ちている。
あえて指摘点を挙げるとすれば、『怪異モノ』なのでそれらの妖怪や都市伝説の描写を、もっと恐ろしいものにして欲しかったです。
今作のラスボス的な怪異の出現シーンは凄く恐ろしくて良かったので、あれくらいが通常の怖さであって欲しかったです。
そして怪異を倒すシーンも、もっと迫力やスピード感、切羽詰まった緊迫感があれば、更に高評価だったと思います。ラスボス戦の演出はアレで良かったですけど。
とはいえ『夏』『田舎』『怪異』『都市伝説』『青春』『ボーイ・ミーツ・ガール』といった要素のいずれかが好きな人には、絶対に刺さると思いました。
高校生の頃に読んでいたら、メチャクチャ影響を受けた投稿作品になっていたと思います。星3じゃなく星5くらい送りたいです。面白かったです!