第140話 大学進学出来なかった理由
先日ターロから、私が大学進学するはずだったのに高校三年の冬にいきなり母から、大学を受験してはいけないと言われた理由を聞いた。
ターロは私が大学に進学するために、お金を貯めていてくれた。
ところがS兄ちゃんが母にお金を貸して欲しいとやってきて、母はターロに黙ってそのお金をS兄ちゃんに貸してしまったという。
ターロはS兄ちゃんの晩年、一緒に暮らしていた頃、S兄ちゃんを快く思ってない言動をして何度も母とケンカをしていた。
私にとってS兄ちゃんには第二の父みたいな人だったので、ターロと仲違いしてほしくなかったし、S兄ちゃんを庇う母の味方をしていた。
けれどターロにS兄ちゃんの『お金問題』の話を聞いて、ターロが快く思わないのは当たり前だと今更ながらに分かった。
S兄ちゃんの『お金問題』はこれだけではない。
ターロの弟さんが私がみーたんのところから逃げ帰ってきた時の清算金や私が職につくまでの我が家の生活費補填などで、まとまったお金を貸してくれたのだ。
そして私は母経由でそのお金をその後働いて返していったのだ。
けれどそれを母は私が知らないところで、そのお金を弟さんに返さずにまたもやS兄ちゃんに貸してしまい、私はターロの弟さんにお金を返していない事になってしまっていたらしい。
それに関しては、後からターロが事情を弟さんに説明してくれ、私の事は許してくれたが母の事は怒っているらしい。
その事が原因でターロと弟さんは10年近く、連絡を取り合わない状態になってしまっていた。
数年前にそうは言っても、弟が心配なターロから連絡を取り仲直りしたとの事だが、母の事は怒ったままらしい。
最初から、うちには大学に行くお金が無いと言われていたのなら働きながら大学に行く方法や奨学金を考えただろう。
けれど私の場合は三年生の受験するばっかりの頃にいきなりダメになって寝耳に水だったのだ。
その理由にS兄ちゃんが関わっていたなんて私としては驚きだった。
もっと驚きだったのは、ターロが私のために大学の資金を貯めていてくれた事だ。
まぁ今更だけど、そういう事情だったのかと知れて何だか腑に落ちたのだった。
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