第139話 義父の今後
私は一先ず1ヶ月だけ義父を埼玉に連れてきて、後は家に返すように促そうと考えていた。
理由は義父には年金が無いので仕事を辞めると収入が無くなるという事と、岐阜の家が空き家になると朽ちていくだろうから、それが困るなという事があるからだった。
ターロ(こっからは義父ではなくターロと戻します)も同じ事を考えているんだと思う、本当は心情的には私たちと暮らしたいのだと思うけれど、そうは言えない、決められない。
後、ターロには弟さんがいるんだけど、その弟さんも半年ほど前に腎臓ガンになったのだ。
幸い早期だったので、患部を手術で取って済んだのだが独身だし身内がターロだけなので埼玉に行かれるのは嫌だと思っているようなのだ。
だったら一緒に住むなり、もっと頻繁に気にかけるとかすればいいのにと私は思うのだが一緒に住むのはありえないと言う。
岐阜の家はターロたちが学生時代に建てられた家なので、弟さんにとっても本当は馴染みのある実家のはずなのだ。
だけど母がリフォームをして移り住んでから、ほとんど寄り付かない。
ターロが言うには、弟さんはずっと独身できた人なので今更、誰かと住むなんて事が出来ないと。それが例え兄であっても。
もし一緒に住むとしても、岐阜の家ではなく弟さんの住んでいる名古屋のアパートの方だろうと。
弟さんが一緒に住んでくれれば私も安心できるのに。
一緒に住む気無いなら、埼玉連れて行っても文句言わないでよね、というのが私の気持ちだった。
私にとってターロは昔私に男性不信、嫌悪感を植え込んだあのターロでは無く、親というか親友みたいなものなのだ。
だから血が繋がっていなかろうが、籍が入っていなかろうが(私とターロは養子縁組していない)放っておけない。
むしろ母より私にとって感情が動く相手なのだ。
だから最善を尽くして、ターロが良いようにしてあげたい。
夫は私から今後のターロの事を話す前に
「こっちに移住するつもりで考えて行って良いから」
というような事を言ってくれた。
とても嬉しかった、ありがたかった。
我が家は二人暮らしでありながら、3階建ての4LDKなので部屋は空いている。
そして私が入院中にターロと二人で暮らした経験があるからだろう、夫はターロとずっと一緒に暮らしても良いと言ってくれた。
こちらの受け入れはOKなので、向こうの問題をどうするのかとターロの気持ち次第というところもある。
社交的で友人知人の多い人なので、その人たちと離れるのが寂しいのではないだろうかというのもある。
会社では外国人の若い人たちに「日本のシーヤ(おじいちゃん)」と呼ばれ親しまれている。
その状況を楽しんでいるのを離していいのだろうか、という思いもあるので私も悩む。
まずは一回、岐阜に帰ってみてどうターロが感じるかなのだろう。
私の職場の人たちなどは私が優しいと言ってくれるが、私より夫の方が優しく本当にこの人を選んで良かったと改めて思ったのだった。
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