第114話 夢追い人くん

 お正月にラインで


「今年は自分で稼げるようになっておいた方がいいよ」


 と言ってきた昔からの友達(40歳男性)がいた。


 自分で稼げるようにってどういう事よ?私一人で生活費を全部賄えるようにって事?と思い深く聞いて行ったら


「2019年は会社員はリストラされるから、会社に依存するのはやめた方がいい」


 という事のようだった。


 なんだそれ、極端な話だなぁと思ったものの、私が経済に疎いだけで世の中はそういう話になりつつあるのかもしれないと、じゃあその友達は今どんな仕事をしていてどんな準備をしているのだろう?と質問をしてみた。


 そうしたら無職だと言う。


 何か起業するつもりなのかしらと思い、更に質問すると


 そのつもりらしく、今貯めているところらしい。


 それを聞いて、純粋に(?)凄いなぁと思ったのでそうやって感想を述べて、いつぐらいに起業するのか聞いたら


「今はまだ貯め始めたところ、これから」


 と言う。


 そうだ、こいつ「夢追い人」だったと思い出した。


 40過ぎたおっさんが無職で、まだお金これから貯めるのに

「今年からは会社員はダメだ」とか

「起業して自分で稼いで行かないとダメだ」

 と言われても説得力が無い。


 この夢追い人くん、昔私が処女好き修造くんと付き合う前に

「付き合ってください」

 と言ってきたものの、この当時から夢追い人で薄っぺらいなぁと思ったから断ってメル友のような友達を続けてきた人だったのだ。


 見た目は良いので、面食いの雪子は一時期好きになり少し付き合うような感じになった事もあったのだが、彼の方が雪子を好きじゃ無く続かなかった。



 年始のラインのやり取りだったので、適当なところでやめておいても良かったのだが、意地悪心が出た私は更に彼に質問や追求をしていった。


 そして私なりの日本経済に対する考えも述べた。


 けど彼は、「今年は自分で稼げるように」とか「会社に依存してはいけない」を繰り返すばかりで、そのうち既読スルーで返事がこなくなった。


 また半年後ぐらいに、ひょっこり何かしらのトンデモ話でもラインにしてくるまで返事がないだろう。


 なーんか、極端な話が好きな人なんだよね。

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