第51話 みーたんとの闘い

 みーたんの上司は仕事は出来るが他人に厳しく、少し偏屈な人だった。

 けれど、みーたんはその人を尊敬していて嫌われたく無いと一生懸命に『出来る部下』を演じていた。


 その反動で家での、みーたんは独裁者で悪態をつく幼稚園児のような存在でその世話とご機嫌を取るのに私とプリッツさんで、奔走するような感じになっていた。


 私はマイペース人間なので、そこまで上司に気に入られようとしなくてもいいんじゃなかと思っていたが、みーたんは、その上司に嫌われたらもう会社にいられないとすら思っている様子なのだ。


 この辺りからもう私は、みーたんに想われているという貯金を使い果たし意地と気力と母性本能の残りでみーたんを愛しているようなもので苦しかった。


 そして相変わらず、3〜4週間ごとに爆発するみーたんとの闘い。


 ただ平和に楽しく暮らしたいだけなのにそれっぽい生活は月に数日だけだった。



 そんな生活をしていたある日、みーたんが高熱を出した。

 扁桃腺が腫れてのものらしく詳しくは忘れたが、手術した方が将来的にも良いということで、東京の病院で入院して手術を受ける事になった。


 入院は一週間ほどで、その間平日でも仕事が終わった後に、プリッツさんと交代でお見舞いに行った。


 私がお見舞いに行っても、さほど嬉しそうじゃないみーたん。

 けれどプリッツさんの時は素直に甘えられ、嬉しそうに思えた。


 もう私の居場所は無くなりつつあるのかもしれない、そう思えて内心は孤独だった。


 そして悔しかった。

 みーたんから距離を置いて、一人別の部屋で寝るプリッツさんの方がみーたんは本当は好きなんだと思うと、私って何なんだろうと悲しかった。


 それなのに、みーたんは私を束縛し、それは精神的事だけではなく腕を掴んで離さず、つねったりある時は、寝かせてもらえなかったり仕事にいかせてもらえなかったり、もがけば、もがくほど絡まる蜘蛛の巣のように抵抗した方が暴力を振るわれるので優しく根気よくなだめるのがマシだった。

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