第50話 転職

 唯一、免許保持者だったみーたんが運転してくれるというのでみんなで出し合って車を買った。


 そして納車されたその日にマンションの駐車場で隣の車にぶつけた。


 私が責任者(?)だし、一番マシに社交的に話す事が出来たので謝りに行った。

 修理の板金工場も私が手配した。


 この時は出しゃばりな事を怒られはしなかった。



 私は少しずつ埼玉県に慣れていたが二人は土地勘も無く、地図もあまり読めなかったので地図帳を使いながら私がナビをして色々なところに行った。


 みーたんが東京に行けるところというから埼玉に越してきたのに、ほとんど東京に出る事は無かった。


 何故こんな知らない土地で知っている人もいない場所に私たちは越してきたんだろうと、たまに虚しくなったが、もう後戻りは出来なかった。



 そうやって2年ほど暮らした頃、私が仕事を辞めることになった。


 みーたんが、自分の職場に紹介するからと言ってくれたのでその言葉に甘えて、みーたんと同じ職場に行く事にした。


 みーたんは職場の人たちは表向きは優しい人もいるが一癖も二癖もある人たちが多いから気をつけろと言う。


 確かに、50代〜70代ぐらいのおばさま方は癖のありそうな人たちだった。

 私はみーたんの隣の部署に配属された。

 お昼休みやタバコ休憩などの時には顔を合わせたが基本的には会社内ではあまり仲良くしてもらえなかった。


 その一癖も二癖もある人たちに隙を見せたく無かったのかもしれない。


 だからと言って私からも素っ気なくすると帰ってからスネられるので難しく面倒なのだ。


 いつも通り、3〜4週間ぐらいの周期でみーたんの機嫌は悪くなったが、それでもこの頃が一番平和だったのかもしれない。

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