第48話 シェアハウス疑われる

 まだ仕事が決まっていない時だったので、顔の腫れが治るまで私は家に居た。


 私たちは会社の好意で、会社都合で辞めた事にしてもらえたので雇用保険が三ヶ月待つ事無くもらえた。


 なのですぐに手続きをして、雇用保険が切れる前に就職先を見つけようという事になった。


 それまでの間、夜型生活になってしまった事もありご近所さんに怪しまれ、通報されてしまうという事が起きた。


 多分、先日私が殴られて上の階の階段に逃げていた際に一人すれ違った住人の方が居たが、その人が私たちを怪しいと思ったのかもしれない。


 夜中遅くまで電気をつけていて、ゆるい体型をカバーするようなネグリジェのような服を着ているからサリンを撒いた某宗教団体では無いか、などと疑われ警察が事情を聞きにきた。


 夜遅くまで起きていたのは悪かったかもしれないが、それなりに防音設備のあるマンションで、私たちもうるさくはしていないし通報した人も、カーテンの隙間から同じく夜中に人の家を覗くように見ていた事はどうなのだろう?とこちらこそ少し気味悪く思ったものだった。



 これは早く就職して生活スタイルを変えないとただでさえ友人同士の同居生活は怪しまれるのかなとこの当時はまだシェアハウスなどという言葉が、世に広まって居ない頃だったし思ったのだ。


 そうなのだ、この頃は今ほど友人同士の同居は部屋を借りる上で簡単ではなく、実はこの部屋を決める前に考えていた部屋は、大家さんからお断りの返事を頂いていた。


 私は密かに、「友人同士、しかも三人で部屋を借りるなんて簡単にはいかないよこのまま貸してくれる先が見つからずに、自分たちで部屋を借りるというプランが無くなってしまえば、埼玉なんて知らない土地にいかなくて済むのに」

 と思っていた事もあった。


 しかも、私以外の二人はそういった不動産屋さんと賃貸に関する感覚や知識が甘く私は余計に不安だったのだ。



 でももう来てしまった。

 前の会社も辞めたわけだし、次の仕事を早く決めないとここの家賃も三人で割ると言っても払えなくなったら、私が名義人で困るわけだしと前を向く事にした。


 私たちは最年長の私でも25歳だったので年齢的には就職先が見つけやすかったのか、プリッツさん、私、みーたんの順で仕事が見つかった。

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