第43話 長野県

 転勤先の長野県ではマンションの一室を丸々私たち四人で使う事になった。


 そのマンションは派遣先は違えど、ほとんどが私たちの会社の人が住んでいるところだった。


 歩いて行ける範囲内に、コンビニと小さなスーパーとカラオケしか無い土地で、マンションの壁には「凍結防止のためのコンセントを忘れずに」というような張り紙がしてあった。


 うわぁ、ほっといたら凍っちゃう地域なんだ、と愛知県や岐阜県の南で暮らしてきた私にはカルチャーショックな思いだった。


 近くにあるバス停から、1〜2時間に1本しか出ていないバスに乗ればJRの駅前に出る事が出来たが、そこに行ったところで地域型のデパートがあるぐらいで、しかもバスの最終が6時台なので休みの昼間にしか利用出来なかった。


 そんな場所なのでスーパーやデパートに行けば、誰かしら顔見知りに出会う。

 そしてそれが同じ派遣先で同じラインで働く人なら、仲良くなりやすいのだった。


 そういった状況から私はある女性ととても仲が良くなった。

 年齢は一つ上で東京出身だという野村さんは、四人の中で何故か私にだけとても積極的に近づいてきてくれる人で、私一人で彼女の部屋に遊びに行くようにもなった。


 彼女の部屋は私たちの部屋と違いワンルームで一人暮らし。

 だから遊びに行っても他のルームメイトに気兼ねをする事も無い。


 だが野村さんと仲良くなるにしたがって、みーたんが嫉妬をするようになった。


 私にとってみーたんは親友であり恋人。

 だから他にどれだけ仲良くなる人が表れようとも別だと思っていた。


 けれど、みーたんはそんな事は関係なく、私の全てを束縛し支配したいらしく早くこの場所を離れたがるようになった。


 と言っても、今回のようにみんなが一緒の場所に同時期に都合よく転勤出来ることなんてそうそう無いだろう。


 みーたん主導で、私たちは今の会社を辞めて、自分たちでどこかの土地で部屋を借り

 新たな生活を始める準備をする事になったのだった。


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