第41話 女同士
この時、みーたんが告白してくれた想いは
その後何年も私の心の貯金になった。
みーたんは昭和の頑固親父のように自分の気持ちをあまり口にしない。
時々、ポツリポツリと話すが
それをこちらが必死になって拾い、咀嚼しないといけないぐらい
本当の思いは言わないのだ。
けれどまだこの頃は言う方だったのだ。
私が現れるまで、みーたんの事を一番理解して受け入れていたのは
プリッツさんだった。
だからみーたんはプリッツさんを特別視していて
誰の目から見ても、二人は大親友に見えた。
けれど私が加わった事で少し変わってきた。
プリッツさんがみーたんの隣を私に譲るようになってきたのだ。
プリッツさんは自分を普通の人間だと思っていた。
けれどみーたんや私はそうでは無いと。
それは生い立ちの事もあっただろうが、私とみーたんは思想が少し過激で
独特なところがあり、プリッツさんはそういう思考をする私たちが羨ましかったんだと思う。
私たちのようになりたかったからか、思想や討論で一番勉強熱心なのはプリッツさんだった。そんなプリッツさんを私は尊敬していたし
みーたんを挟んでのライバルと思いながらも好意を持ち続けられたのは
プリッツさんの、感受性を大事にしてそれを語る思考の深さがある人だったからだ。
そんなプリッツさんはやはり、普通の人だったのだろうか?
女同士の恋愛になろうとも、つき進もうとした私と違い
彼女はブレーキをかけていた。
そして私が現れた事で、これ幸いと女同士の道に行きかけたところから逃げたのだ。
私は誰から変な目で見られようとも
みーたんを好きな事に堂々といようとした。
みーたんは照れ隠しもあり、表向きの言葉では
私に対して「女同士なのに」と言うが
本音ではちゃんと私を好きでいてくれているのは分かっていた。
そして今度は言葉ではなく
キスをする事で私に想いを伝えてくれた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます