社会人編

第31話 パチンコ生活

母は夕方からのパートをしていたが

パートに行くのを惜しむぐらいパチンコを回したがっていた。


そして母の悪い癖なのだが

自分がドル箱を積みながら、しょっちゅう余所見をして

他の台も気になってしょうがない、という状態でキョロキョロする。

パチンコで儲ける欲が強過ぎるからだ。


なので、自分が打ちたくても打てない台を私に打たせるのだ。


私は「そんなに簡単に出るわけないじゃない」と思っているし

何より、パチンコで3000円使っちゃうなら

3000円、他の事に使った方いい

という考えなので、渡される500円玉(当時はまだ現金だった)を

たまーに、もらってしまっていた。


にもかかわらず、母はやはりパチンコ運が尋常じゃない人だったので

母が指定する台をプレイすると、あっという間に大当たりになる。


そうなると閉店の10時まで拘束される事もしばしば。


1日で私と母とターロで大卒の初任給以上を軽く儲けてしまっていた。

この当時は一番パチンコが出ていた時期なのではないかと思われる。


それであっても母は私には10万で1000円ぐらいの感覚でしか

儲けを渡してくれなかった。

後は、次の日以降の軍資金と生活費になる。


お金が無いから進学させられないというのは確かにある程度は本当なんだと思う。

けれど、もしかしたらパチンコ要員がほしかったのではないだろうか

なんて思えてしまうのだ。


口では「正社員が無いんだったらアルバイトでも行け」と言うものの

それは世間体として言っているのであって


当たり前のように私を朝からパチンコ店に連れ出すのだ。


とは言え、私も母に付き合ってパチンコしてばかりいると

時間の拘束が長い割に、私のお金は増えないので


早めに母から解放された日は、お小遣いでパチンコをするようになった。

すると500円や2000円ぐらいまでで当たりがくる。


そうやって少しずつ貯金を増やしていったのだった。

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