第32話 職業訓練校

朝からパチンコに行くという生活を続けて一年が経った頃

高校で大の仲良しだったネコリン(もちろんあだ名、しかも私が付けた)から

職安からの職業訓練校に行く事を誘われた。


その学校で半年間学べば、卒業後の就職先を紹介してもらえるらしい。


これは行くっきゃないと思い手続きをした。


岐阜は繊維業が盛んなので、その職業訓練校では

縫製が学べるらしい。


実は家庭科はかなり成績の悪かった私だが

この際、そんな事言ってられない。


高校卒業時の進路で一度躓いてしまったリベンジがやってきたと思い

やる気満々で臨んだ。

しかも仲良しのネコリンとまた一緒に毎日過ごせるなんて

高校生活のボーナスステージがやってきたようで嬉しかった。


ところがいざ入学という時になって

ネコリンは入学をドタキャンしてしまったのだ。


気まぐれなところがある子だったが

まさかここでまで、とせっかく一緒に学べたはずなのにと

ガッカリしながら訓練校生活を始めた。


その訓練校は男性向けの配管工科、土木木工科、縫製科とあり

縫製科は中学卒業後に高校に行くような感覚で学びにくるジュニア向けクラスと

私が所属する一般向けの2クラスがあった。


一般向けクラスは当時20歳になりたての私が最年少で

後は20代後半から50代後半までの女性、それも皆さん主婦

という方々総勢15名ぐらいのクラスだった。


担任の先生は50代の女性の先生で副担任は50代の男性の先生。

学校なので朝の9時ぐらいから15時ぐらいまで授業があった。


朝の授業が始まる前には全校生徒が中庭に集まって体操をする。

なので自分のクラスの人たち以外とも顔を合わせる時間だ。


その時に隣のジュニア縫製クラスに所属する女の子に話しかけられた。


すぐに分かった。

小学生の頃に家の向かいに住んでいた理緒ちゃんだ。

理緒ちゃんは発達障害なのだと思うが、親も含め

周りが変な子扱いして避けられていたが、私は理緒ちゃんのお兄ちゃんと

仲が良かった事もあり、一緒に遊ぶこともあった子だ。

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