第8話 好きなら自分から

私には幼馴染がいた。

前に書いた、父親と一緒に仕事をしていた人の娘ちゃんではなく


今回書くのは母親の友達の男の子だ。


男の子二人兄弟だったのだが、次男くんが私と同じ歳だったので

私たちは特に一緒にされた。


そして私は幼稚園児の頃にベタ惚れ風な素振りを取っていた。


素振りと書いたように、ちょっと周りを意識しての言動だったと思う。

大人たちに対してのサービス精神(?)というか、そういう感覚が少しあった。


「Aくんと将来結婚する!」


そう言っていた。


周りの大人たちは微笑ましく見ていたが

当の本人であるAくんは迷惑そうだった。


それでも私はめげなかった。

大人たちへのサービス精神もあったが


Aくんが好きなのも本当だった。


そして相手に自分から好意を伝える事は良い事だと何故だか幼心に信じていたのだ。


照れくさがって

「嫌いだ」

と言ったり、素っ気ないフリをするより


あなたが私を好きじゃなくても、私は好きなんだからね


という姿が私は好きだったのだ。


この幼い頃からの考えは大人になってからも変わらず


まどろっこしい駆け引きなんていらないのに。

好きなら好きと、とっとと言っちゃった方が時間がもったい無くないのに


と思っている。


女の人はよく、告白は男性からしてほしいものと思っているが

好きなら女からだろうと、素直に言えばいいのにと思ってしまう原点は


私にとっては、この幼馴染に対しての【責め】だったんだろう。


別に私は自分に自信があったわけじゃない。

自信が無かったわけでもない。


コンプレックスも、チャームポイントも意識していなかったからこそ

自分が相手に好意を持っているという想いだけで

邪魔するものも影響するものの無かったから


臆する事がなかったのかもしれない。

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