第7話 本好き変人の始まり

私が本好きになったのは父親の影響だった。


父親は本が大好きで、1週間に一度は本屋に行く。

その時に私も連れて行ってくれて

どんな本でも良いからと、毎回一冊買ってくれた。


それはマンガでも構わなかった。


その当時の私はまだ本当の意味では本を好きになっていなくて

パパが本を買っているから

私も何か面白そうな物を……という感覚ぐらいだったので


選ぶ本も色々だった。

それはどんな本であっても咎められる事なく

パパは買ってくれる。


小学校低学年の子が読むにはあまりにも難しそうな専門書でも

少しエロが入っているマンガでも

もう少し大きい子が読むだろう、分厚い児童書でも……。


そうなのだ、私は自分の年相応な本は

ほとんど選んだ事がなく


今思い返して見ても

何故それを選んだ?と思うような本も多いのだが


一部は、私が読みたい本というより

それを買って、母や友人等に見せたら気を引けるかも


そう思うような本だったと記憶している。


これ、前に書いた母親のストック癖の延長線のようなもので

本も、自分が読みたいものではなく


誰かが喜ぶかもしれないという視点で選んでしまうのだ。


なのに、これまた前に書いたように

私は「ママ見てー」をしない子だったので


母親が喜ぶかも?興味があるかも?という本を買ってもらったとしても

「ママ見てー」と言って見せはしない。


私が興味があって買ってもらった風を装いつつ

母親の目につくところに、その本を置いたりするのだ。


ひねくれているのか、人を喜ばせたいのか

ちょっと変わった子だったのだ。

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