第6話 母親2

 うちの母親は食材のストック癖がある。

 ただ買い置きするのではない。


 家族が買っておいたら喜ぶだろうと思うものを想定して、買っておくのが好きなのだ。


 これ、思いっきり私に遺伝した。


 私もスーパーに行くと自分の食べたいもの以上に、買っておいたら夫が喜ぶだろうな、と思うものに目が行ってしまうのだ。


 それと似たような感覚で学校行事などで何かある際や、特別な道具を持参する日などに、私の分以外にも2〜3個余分に道具を用意して持たせる趣向があった。


 一番わかりやすいところで言うなれば、お弁当持参日に割り箸を多めに持たせるのだ。


 万が一、忘れた子がいた時に渡してあげられるように。


 買い置きの件同様、先回りの痒いところ掻きで誰かを喜ばせるのが好きだから、そういう事をする。


 これ、私は良く気持ちが分かる。


 けれど他人にはあまり理解してもらえず

「感謝してほしいからしている」

 と思われるのだが


 欲しいのは感謝ではなく、相手の喜ぶところや安堵や嬉しさなどなのだ。


 こういうのを求めるところも私は母親から遺伝した。


 前から書いているように、母親はパチンコ店に入り浸る人だがそういう母親だと、一般的なイメージは良くないものだろう。


 けれど私の母親は、毒親でもあるが人が嬉しがる姿が大好物な人でもあったのだ。

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