第5話 母親1
パチンコに通い詰めていた母は男運は悪かったが、パチンコ運はかなり良い人だ。
時代も良かったのだろうがパチンコで『負ける』という事が極端に少ない人なのだ。
なので一発逆転を狙いギャンブルとして銀玉遊びに興じるというより、パートで稼ぐかの如く、定期収入のようにパチンコを利用していた。
そんな母は幼児の頃から私を時々パチンコ店に連れて行ったものだ。
と言ってもパチンコ店の中にいる事ばかりではない。
子どもながらに変に遠慮がちだった私は、打ちもしない私が席を陣取っている事にかなりの罪悪感を感じていたので、出来れば店内に居たくなかったのだ。
そのため、駐車場で遊んでいたり、従業員寮に子どもがいる時はその子と遊んだりしていたものだった。
小学校にも上がっていない子どもを一人放置するなんて、ネグレクト気味の親でもないとしないかもしれないが、私は幼児の頃からとても聞き分けのいい子だったで、勝手に一人でどっかに行ってしまうとか知らない人に付いて行くとか、車通りの激しいところに行ったりなどはしなかったため母は私を一人にする事も多かったのだ。
この聞き分けの良さから子ども向けの映画(さすがに八甲田山のような映画ではない)を一人で映画館に放り込まれ、終わったら入口に迎えに来ているというやり方で見せられていた事も良くあった。
私は泣きもしないし
「ママー」
と母親を求める事もしない。
母親を求めないと言えばつい最近、気が付いたのだがそういえば私は一般的な子どもが何かしら作ったりやったりした時に
「ママ、見てー」
と言う、アレ、私はした事が無い。
何故だか、そこまで母を求めてなかったし、子どもらしさというものが無かったのだ。
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