こんな可能性

ファム=サンタマリア

第1話 夢オチ

今日はバレンタイン。女子が好意のある男子にチョコを渡す日だ。太郎は、隣のクラス好きだった綺代美からチョコをもらっていた。この太郎という中学三年生の少年がまた凄まじくて、部活ではテニスで全国2位。偏差値72の成績優秀。顔も美男子と言った具合だ。

太郎の生活は変わっていた。夜の12時まで勉強したあと、1時まで趣味に時間を使い2時に寝る。そして4時に起きてランニングという睡眠時間2時間の生活を小学4年生の時から続けている。ただ、綺代美からチョコをもらったこの日だけはとても眠く、太郎は9時に寝た。

太郎はその日とても変な夢を見た。とても感覚がリアルなのだ。そして夢の内容がまた変で、自分は猿のような姿をしていて、よく見るアフリカの草原のような場所にいた。また、これが夢だと太郎は気付いていた。向こうから、自分と同じ猿のような生物がやってきた。

向こうからやって来たその生物は太郎が知ってる猿とは少し違った。太郎はその生物に話しかけようとしたが、今自分がなっている生物には声帯が存在しなく、声を出すことが不可能だった。なんとか意思疎通を図ろうとしたが、その生物は太郎の前を素通りした。

なぜ無理やりでもその生物を止めなかったかというと、体が動かなかったのだ。太郎は夢の世界に入ってから、体を自由に動かせていなかった。自由に体を動かせるようになったのは、夢の世界に入ってからかなり経ったころだ。この時太郎は現実では1時頃だと思っていた。

太郎はこの世界の不思議なところに気付いていた。例えば摩擦だ。太郎は火を起こそうとしたが、熱くすらならなかった。これを太郎は摩擦がないからと考えた。他にも、重力だったり、風だったりといろんなものが変わっていた。一方で空気などの変わらないものもあった。

この世界では太郎が培ってきた知識が通用しなかった。そしてこの頃太郎は異変に気付いた。明らかに寝てから9時間以上経っている。そろそろ起きなければいけない。しかし、起き方が太郎は分からなかった。起きたい。起きられない。太郎の中に焦りが出てきた。

焦りは恐怖へと変わった。なぜならもうこの夢の世界で5日も経ったからだ。それでも起きれない。2年3ヶ月経った頃、太郎はやっと寝ぼけから覚めた。そして思い出した。今までの現実世界の太郎の一生はこの俺の一つの夢で、こっちの世界が本当の現実だったということを おわり

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