Case 2

02-1 遭遇

 梅雨前線が北上し、ようやく夏が始まったというように気温が急に上昇し始めた、ある日のこと。

 お客さん先へインシデント調査報告をおこなった、その帰り道、


「あれ、綾瀬?」

 不意にすれ違った人から声をかけられた。

 一瞬、だれなのかわからなかったけれど


「え、迅さん?なぜここに?」

「綾瀬に合うのは大学の時以来かー。よお、久しぶり」

「お久しぶりですね、先輩」


 上野迅先輩。大学時代のサークルの先輩で、ラガーマンのような体格の熱い人。

 確か今は電信系SIerのシステムエンジニアとして働いているって、誰かに聞いたような気がする。


「今、綾瀬は何やってるんだったっけ?」

「ついこの前まではSEでしたが、セキュリティの部署に異動になったんですよ」

「そうなのか。まだIT業界で生き残っているようで俺は嬉しいよ」

 なぜか熱くなってきた。


「どこかでまた会うことがあればよろしくな」

 と簡単に挨拶だけして、迅先輩とは別れた。

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ヒカルのインシデントレスポンス~楽しい?!セキュリティ対応~ 秋乃 燿 @yoakino

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