エピローグ

「キアラ、ハミル、はやく!」

「待ってよエレン、せっかちだなぁ」

 ハミルはぼやきながら、キアラは口には出さないものの少し辟易した様子でエレンを追う。

『おい、あんまり揺らすなよ』

 瓶に封印されたベリアルはハミルのショルダーバッグの中で不平不満を漏らした。

「しょうがないだろう、我慢してくれ」

 封印されているもののどうやら意思の疎通が図れるらしいと、ここ数日でわかったのだ。

 仇といえど言葉が通じる相手を無下にもできない。

「さあ、早く依頼主のところに行きましょう!」

 ハミルとベリアルの会話を意にも介さずエレンは二人を急かす。いつも通りの光景だ。

 先生の仇はとった、と言えるかもしれない。

 それでも当時の俺たちのように、どうすることもできなくて苦しむ人たちはまだまだ沢山いるのだ。

 そんな人を俺たちは助けたい。

「ああ」

「行こうか」

 決意を新たに、三人は一歩踏み出した。

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Llibre Orientació 衣川 龗 @kinukawa_ryo

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