日出づる

尾巻屋

日出づる

 夜のとばりを剥がした太陽が、紅潮した頬を涼ませながら、朝の到来を唄う。


 昨晩の闇が取り払われ、地面に崩れた縄の結び目が朝日に照らされる。


 涙を口角に伝わせ、喉の奥から嗚咽が漏れる。


 熱くて苦いものが、甘くて冷たいものが、胸から出て行く。

 

 鳥のさえずり、人の営み。自動車、電車の走行音。


 いじけた黄金の光の中に、全てが蕩けて混ざり合う。


 顔を上げると、そこには抜けるような青空が、僕のちっぽけさを笑っていた。

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日出づる 尾巻屋 @ruthless_novel

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