9 EULE y un caballero del guarda
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翠嵐は、まごうことなき「竜」だ。
ざらついた背中はとても広くて、さっき別れた爛とは全然違った。
羽搏きのたびに、その辺から
そうしてざわざわ賑やかに、オレと蔦虫たちは空から放り投げられた。
気づけばもうファルケ首都フリューゲルの、大きな建物の前だ。
ちょっとした広場になっていて、何十という人が右往左往している。
ナハティガルに戻るや否や「急いで行け」と伝えてくれた燦は、
そこを国会議事堂と呼んでいたように思う。
立派な建物だ。門は石造り、歴史のありそうな佇まい、
ユーレだとこんなのは王宮くらい。
そこから人がばらばらと走り出てくる。
降って湧いたオレたちを呆気に取られた目で見ていた周りの人たちが、
大慌てでそちらに走り寄ってったけれども、
出てきた人たちは迎えに辿り着く前にほとんどが倒れて、
とても嫌な匂いが辺りに立ち込めた。
その人たちの様子を、思い出したくない。
後ろから聞き慣れた声が、散らせ、と言うので
オレは慌ててその嫌な匂いを空に巻き上げた。
後ろから伸びた手がそいつをつまんで助けてやった。
外からどんどん人が集まってくる。武装した人も増えてきた。
混乱を広げないためだと思うけど、目の前で門扉が閉ざされてしまった。
でも、燦が行けと言ったのはたぶん、この建物の中だ。
どうするつもりだろうと思って、後ろを振り返った。
翠嵐は不満そうな顔をして目を細めている。
周りに少し距離を置いて、人の輪ができてきた。
もちろん友好的な顔をした人は誰もいない。
仕方ない。いくら人の姿をしていたとしてもオレたちは怪しいのだ。
スペクトのお菓子屋さんでちゃんと学んだ。
翠嵐はそれを見回して、大きなため息をついた。
それから腰に右手を当てて、左の人差し指を天に。そして前へ。
その口元は「先に連れていけ」と言っている。
オレは周りの蔦虫に目配せをした。
それから後ろの翠嵐の足元を見た。
翠嵐は右足をトンとひと踏み。
オレはそれを合図に蔦虫たちごと風を巻き上げ、門扉を飛び越えて走り出した。
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