20 「なんで僕の鞄を漁ってるんですか?」
「はい、ご注文はお決まりですか?」
「えっと、チーズハンバーグ、オムライス、グラタン。あと、ドリンクバーを三つお願いします。」
慣れた感じで注文を済ませた日向さん。ドリンクバーまでつけてもらって申し訳ない。自分で払うって言っても、聞いてもらえないだろうなぁ。お金使わせるのが申し訳ないんだけど、どうしたらいいだろうか。
「じゃあ、二人とも先にドリンクバー行って来たら?私はここで待ってるから!」
「わかった。行こ?」
朝日さんは立ち上がると、僕にそう言ってドリンクバーのほうへ行く。僕も朝日さんの後に続き、ドリンクバーに向かう。その時に、日向さんがニヤついていたのが気になったが、気のせいだということにしておく。
「お姉ちゃんが、強引でごめん。」
コップにオレンジジュースを注ぎながら、朝日さんが僕にそう話しかけてくる。そういえば、オレンジジュースを入れるときにドリンクバーから一緒に出てくる透明な液体ってなんなんだろう。いや、別にオレンジジュースに限らないんだけどね。ドリンクバーって濃い原液を薄めて出してるのかな?家に帰ったら調べてみよう。そう思って毎回忘れるんだけどね。
「朝日さんから話してくるなんて珍しいね。面白いお姉さんじゃん、僕は別に気にしてないよ。」
「面白くない。ただ、面倒なだけ。」
「そう言うわりに、日向さんが来てから朝日さんの口数増えてるけどね。日向さんといるの、煩いとか言いつつ結構好きでしょ?」
「話さないと余計に喋ってくるから仕方なく喋るだけ。」
朝日さんはストローの袋を開けながらそう言う。ただ、結構好きのほうは否定しないようだ。朝日さんって嘘はつかない、素直なタイプなのかもしれない。話しかけてもあんまり答えが返ってこないからわからないけど。僕が「そういうことにしておくよ」と言うと、朝日さんはそっぽを向いてなにかごにょごにょ言ったが、よく聞き取れなかった。
飲み物を注ぎ終えた朝日さんと僕が席に戻ると日向さんは何故か僕の席に座っていて、なにかをゴソゴソといじっている。
「あの、日向さん?なにをしているんですか?」
「んー?ちょっとね。あれ?朝日、今日はいろんな種類の飲み物混ぜなかったんだ。いつもドリンクバーのある店に行くと、片っ端から飲み物混ぜて実験だーとか言ってるじゃん。」
「そ、そんなことしない!」
すぐに否定する朝日さんだが、焦っている様子と赤くなった顔をみていろいろ察せる。どうもどうやら朝日さんは嘘が苦手なようだ。まぁ、ドリンクバーで色々混ぜたくなるよね、うん。前に妹がいろいろ混ぜすぎて変な色なのに味がしない謎の液体を生み出した時にはびっくりしたよ。みなさんもドリンクバーで色々混ぜるのは気を付けましょう。
「あはは、朝日はわかりやすいよね!まぁ、朝日ってシャイだもんね、子どもっぽいところ見せたくないんでしょ?勝手にばらしてごめんねー。お姉さん反省!」
「そ、そんなことない!あ、逢音、この人の発言を信じちゃダメ!」
「あはは、わかってるよ。」
顔を赤くして必死に否定する朝日さんに、僕はそう返しておく。日向さんがいるせいか、今日の朝日さんはいつもと違う面を見せてくれる。
だけど、そんなことよりも気になることがある。さっきから日向さんがゴソゴソしてるのって、僕の鞄じゃない?っていうか、どう見てもそうだよね?まぁ、見られてまずいものはないからいいんだけどさ。
「あの、日向さん?なんで僕の鞄を漁ってるんですか?」
「んー?妹と仲良くしている男子が、どんな性へk――どんな人かを見定めるのが姉としての務めかなぁと思ってさ。おかしいなぁ、男子高校生の鞄って、なにかいやらしいものが入ってるかと思ったんだけど、なにもないの?男子高校性でしょ?もしかしてネット派?」
「なんの話をしているんですか。」
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