第2話 イメチェンした性格神の幼馴染

突如僕の耳からヘッドホンが離れてどデカイ声量で語りかける。

「おいっ! 何寝ようとしてんだよ」

そこには栗毛の髪を持つ男が腕を組み仁王立ちしている。

「……ん 誰ですか?なんか用ですか?」

「…って何忘れてんだよ! 葛城美徳(かつらぎみのり)だよ 悲しいぞ真友(しんゆう)よ」

「はぁ——。 あの黒髪眼鏡真面目オタクだとぉ!?」

雰囲気がとんでもなく変わりすぎて予想だにしなかった容姿になっていた。

夏休みで人はこんなにも変わってしまう生き物か。

「建一は夏を満喫していたのか? 俺はちなみに満喫してたぞ」

そりゃ満喫してるわ! でも案外イケメンだよな。 ズルいぞ、いやこれは別に羨ましがってはいない。

「まぁそれなりにな でもイベントとか行ってるから金欠なんだけどな」

「なぁ、彼女とか作らなかったのかよ?」

「はぁ? 俺にそんなのいると思うか

いらねぇな」

本当は誰よりも彼女が欲しい出来れば自分の趣味を尊重してくれる健気な子とか。

「もうそろそろ彼女の一人や二人欲しいだろ。 てかさ、綾瀬ちゃんは?」

いや二人は駄目だろ色々問題になるわ! 一線越えていませんとか言うのはゴメンだ。

「綾瀬は可愛いんだけど俺が釣り合わないよ だって俺こんなだ———」

うわぁ、相変わらずすげぇネガティヴだ。 正直引くわ。これを自覚してる建一はヤバい奴としか言いようがない。 「あ、そういえばさあの新作ゲームどうだったんだよ」

「あ、うん。 とっても最高だったよ あれは美徳買うべきだぞ」

「んじゃあ、昨日バイト代入ったからつい来てくんない? いや行くぞあとゲーセンもな」

いや、僕に決定権ないんですか!? まぁでも久しぶりに美徳と遊ぶのもいいか楽しいし。

「けんーいち! なんで置いてくのよ」「やばっ ごめん忘れてた。 なんで2年の教室に来てんだよ」

「一言文句言おうと思ってね」と言うと綾瀬は建一に飛び付いた瞬間綾瀬の脚が机に当たる。机が付近にいた女子に連鎖して当たるのを咄嗟に美徳が受け止める。

「委員長大丈夫だった?」

委員長は照れながらうなづく。

クラス中が美徳と委員長に注目が集まる。 あいつ誰だ? 何あのイケメンなどざわつき始めたため教室が騒がしくなる。

てか、眩しすぎる。 なんだこのイケメンは。 1学期まで僕と同じ人種だったじゃないかこの裏切り者め。

「ところでさいつまでその格好でいるの? お二人さんは」

建一、綾瀬の双方はお互いの状況を理解するのに割りかし時間がかかったがそこからは早かった。 互いに悲鳴が上がり綾瀬は建一の頬にビンタを食らわせ挙げ句の果てに正拳突きをも与える。 「痛っ! ごほっ こんなのどこで覚えてくっ……」

クラス中にかなり鈍い音が響き渡る。

いつの間にか美徳からこの二人に注目の的が変わっていた。

「これはヤバいよ。 早く建一を保健室に連れて行こう」

その現場を目撃した建一の友人達が慌てて連れ運んで行く。

「…ん? ここどこなんだろう。何も見えない」

ゆっくりと霧が晴れて目前がはっきりとしてくる。 なんとそこには……

「あははは 建一君お姉さんといい事しない?」

「何言ってるの、私とでしょ?」

なんだこのギャルゲーでしか起きないイベントは!? これがモテてる主人公気分か……最高じゃないですかぁ———。

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