コスプレイヤーとして、写真愛好家サークルに所属するリコ。周りのみんなからも慕われ順風満帆な彼女ですが、ある日彼女に向かってスケッチブックを掲げる一人の男性が。
彼の名はハヤトくん。そしてそのスケッチブックにはこう書かれていました。
『目障りだ露出狂!』
最悪の出会いから始まるシチュエーションと言うのは定番ですが、ここまでパンチのきいたものはそうそうないのでは?
そんなところから始まった二人ですが、いやぁ、人と人との関係って変わるものですね。かなり読み進めてから振り返ると、そう言えば最初はこんなだったなと驚きます。つまり、それだけ後々二人が仲良くなると言うことです。
しかもその仲良くなっていく過程が、とても丁重で説得力があるのですよ。
リコとハヤト、それぞれに抱えている事情があって、さらにそれぞれの友人達もからんできて、二人の物語でありながら、登場人物一人一人とのやり取り、繋がりが濃く書かれていて、みんなが見守ってくれるような物語となっています。
そしてもちろん、見守るのは自分達読者も同じ。二人の恋の行方、そしてその先にある幸せを、最後まで見守っていきたいです。
大学のキャンパスの隅で、コスプレの撮影会をしているリコ。
被写体である彼女は、衣裳に身を包んでポーズを決めていたけど。離れた所からその様子を見ていた男子学生が、心無い言葉を向けてきます。
「目障りだ露出狂!」、「気安く触るな、クソビッチ」
……酷いですね。
男子学生の名は、イシバシくん。そんな最悪な出会いをした二人、なのですが……。
ふとしたことから、イシバシくんの絵のモデルをやることになったリコ。それから二人は徐々に距離を縮めていきます。
このレビューを書いているのは、六十話を過ぎた辺りなのですけど、ラブラブなのですよ。
読んでいて悶えられずにはいられないくらい、仲睦まじて。あの出会いからよくぞここまでと思うくらいの、相思相愛ぶりを見せつけてくれます。
最初の悪印象なんて、とっくにどこかに飛んでいっていました。
だけどこの物語は、甘々なだけではありません。
レイヤーとして活動するリコと、絵を描くイシバシくん。二人はともそれぞれ抱えていることがあって、悩みもあれば、酷く傷ついたことのある過去を背負っていたりもします。
恵まれたヒーローやヒロインと言うわけではなくて、等身大の一学生として描かれるリコとイシバシくん。けどだからこそ、互いを欲して求める二人が、輝いて見えるのです。
そんな二人の恋物語、最後まで見守っていきたい!
そしてこの作品、一人一人のキャラクターがしっかり描かれていて、とても魅力的なのですよ。自分はメイくんと言うキャラクターが気に入りました。
物語を彩る、個性豊かな面々。是非読んで、お気に入りのキャラクターを探してみてください。