第14話 孤児院

 ハルさんって凄いと思う。

 養殖場まで造らせちゃうんだよ。

 鱒みたいな魚だって言っていたから見たいと言ったら大きな鮭くらいの大きさでレインボートラウトやヴァイオレットトラウトって名前なんだって。

 キラキラしてて凄く綺麗だったけど変な鰭が付いていて変わった魚だった。

 何で地下に養殖場を作ったのかなと思っていたら『外になんて造ったら魔物の餌場になってしまうじゃろ』ってライナちゃんが教えてくれた。

 この国は海に面しているから海の幸も豊富なんだけど安定供給を考えてなんだろうね。

 海が荒れれば漁には出られないし不漁なら魚の値段が上がるからね。

 色々なお店を覗いてからライナちゃんに言われて『少し寄り道するぞ』ってハルくんが向かった先は修道院に併設された孤児院だった。

 ハルさんはシスターと話があるからってトートバッグを渡されて子ども達の相手をすることになったの。

 人間の子も居たけれど獣人の子達のほうが多かった。

 魔物に襲われたり盗賊に襲われたりして孤児になるらしいけれど、他の国では奴隷になってしまう子も居るらしい。

 ちょっと私には理解できない。

 それでもリアルなケモミミの子どもってチョー可愛いの、将来は保母さんもありかな。

 トートバッグの中にはキャンディーや折り紙とかあやとりの編んである紐が沢山入っていて。


「ちゃんと並ぶんじゃよ。喧嘩しないようにな」

「「「「「「はーい!」」」」」」


 ライナちゃんが仕切って配りだすと直ぐに口に放り込んで幸せそうな顔をしている。

 甘い物って貴重なんだと思う。

 お店周りをしていた時にハチミツが無かったからどうしてとハルさんに聞いたら。

 100ml位で金貨1枚なんだって。

 金貨10枚あれば余裕で一家が数年暮らしていけるって教えてくれたから超高級品じゃん。


「よし、妾があやとりを教えるから。蓮は折り紙をな」

「はい。そう言えばリーファさんは?」

「すでにあそこで遊んでおる」


 ライナちゃんが指差す方を見るとリーファさんが人狼の姿になって少し大きな子達とレスリングごっこをしていた。

 人狼の姿のリーファさんも綺麗だなと思いながら騙し舟や風船に簡単なやつを折りながら教えていく。

 日本人なら折れない人が居ないくらいの鶴を折ったら羨望の眼差しで見られ全員分をおるはめになっちゃってちょっと大変だった。

 あやとりを四苦八苦しながら教えているライナちゃんも可愛かったな。


 お城に戻って食事になったんだけど夕食は国王主催だったから緊張しちゃってあんまり味わえなかった。

 部屋に戻る時にハルさんは体を動かしてくるって何処かに行っちゃうし、ライナちゃんは魔王と話してくるって。

 で、リーファさんの部屋でおしゃべりをして一緒に寝かせてもらっちゃった。

 あんな広い客室は落ち着かない。

 やっぱり私には屋根裏部屋くらいが良いな。


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JKとかJRが異世界転生やら異世界旅行やらするらしい 仲村 歩 @ayumu-nakamura

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