エピローグ



拝啓 姉ちゃんへ







姉ちゃん、僕だけ残っちゃったみたいだね。





本当は姉ちゃんの方が後から来るはずだったのにさ

まったく、なんの未練が僕にはあったんだろう。






姉ちゃんが死んじゃう三年前には僕はとっくに死んでいた。


事故だった。


でも僕は姉ちゃんを置いて、あっちの世界に行く事は出来なかったんだよ。





そして僕はゆらゆらと姉ちゃんの周りばかりついてた。







そして見つけたんだ、この人なら姉ちゃんを幸せにできるんじゃないかって人。


実際、僕が死んでからの姉ちゃんは段々弱って行く一方だったけど

それでもあの人がいるだけで、なにより楽しそうだった。








その時、あぁ、僕がいなくても姉ちゃんは上手くやっていけるよねって思ったんだ。





でも、姉ちゃんは死んじゃった。

そして残されたのは僕だけ。






成仏するはずの僕の魂は、いまだに残ったまんまだった。

何故だろうと何日も何日も考えて出した答えは





あの人の事を知りたいと思ったから、って。









何事にもほとんど無関心だった姉ちゃんを、あそこまで好奇心旺盛にした

彼、川野 海斗 の事が知りたいと思ったんだ。






だから姉ちゃん。

少し待ってね。








もうちょっとで会える気がするんだよ。



僕のヒーローに。






浜 真空

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星屑だって、ヒーローだって 寿タヱ @yuuhiko_kamino

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