選択肢無限?バッカじゃないの(嘲笑)
ヒロくん
第壱話 可能性無限大説
何処の学校でもこの格別の解放感は変わらない。
全国共通と言えるだろう。そう考えると、一学期の終業式というのは学校生活で一番、心踊る行事なのかもしれない。良し悪しはともかく期末試験の期間も過ぎその結果も出て、心が飛び跳ねる枷は何一つ無いわけだし。個人的には修学旅行と双璧を成す高揚感だ。だが、毎回同じ様な事を言う校長は暇なのだろうか?
「えー、であるからして君たちには可能性が無限にあるからして、夏休みを貴重に過ごすからして……」
こんな興味ない話しを聞いて起きててられる自分は天才だと思う。てか、「であるからして」多くね?
周りの連中はもう既にノックダウンしており
生徒はおろか先生も半分寝てる状態だ。
俺もそろそろ夢の世界にレッツゴーしたい訳だが、こんな熱い中、立ちながら寝るという芸当はできそうに無いので諦めて起きている。
「……今年の夏は貴重に過ごして下さい」
起きてはいるが、全く内容は頭に入ってきてはいなかったが、終わったという事実だけは分かった。
それからオレ達は教室に戻りどうでもいい会話をしている。海行こうぜ!海!とかやっぱ肝試ししないと夏じゃねぇよ!とか言っている。俺としては何故エアコンの無い外界に出るの?となってしまうがそこは突っ込まない方が華というものなのだろう。
俺はこんな性格のおかげか誰とも話さずに一人でボーとしていた。その内、担任の先生が教室に入ってきて軽いホームルームをする。
「お前達、高校二年の夏休みは高三に向けて勉強をしたり……」
「「「「夏だ!海だ!青春だ!」」」」
「お前達は勉強する気ゼロか!?」
「まだ、高二ですから!性行為に夢中です!」
「せーいしゅん!せーいしゅん!」
おい待て、今、性行為とか言わなかった!?
この疑問にとてつもなく違和感を覚えたのは俺だけなのか?おかしいだろ……
「は〜、今勉強して可能性無限大の将来に繋がる事を……」
「俺と海行く人この指止まれー」
といきなり海野郎は言った。害児か?
「「「「「はーーい!!」」」」
そしてお前たちも反応すな!
「全く、、このアホどもが……は〜、ではホームルーム終わり!さっさと海でもなんでもしろ!」
流れる様にホームルームが終わり、興奮冷めやらぬ教室では謎の海コールが始まっていた。
俺はというとそんな馬鹿共から距離を置いてさっさと荷物を持って教室をでる。陰キャラだと思われるかもしれないが、実際そうなので何も言えない。
少しの間歩いて、周りに人の気配を感じなくなった為、俺は独り言を言う。
「は〜、知ってる知ってる、夏休みは友達と遊ぶというのを自慢するモノなんだよね〜?ナニか?俺だって忙しいから家の中で本を読んだりとかゲームで忙しいから!もはやリア充なみに忙しいから!」
自分で言ってて悲しくなってきたが、無視して独り言を続ける。
「何が無限大だ!友達もいない根暗ボッチという肩書きを持つ俺に無限大の可能性がある訳なかろう!はっ、勉強して良いとこの学校行って社畜になるだけの未来じゃねぇか!なにが無限大だ!無限だったら俺を異世界にでも転生させたり!可愛い妹とイチャラブするとかあるだろ!クソだな!」
「全く、あり得ないのに無限なわけ無いじゃないか……おっと」
俺は急に尿意を感じ、そこから急いで家に帰った。
途中に店とか入ってトイレを借りるのも良いが、そんな事コミュ症の俺に出来るわけないだろ、ばーか。生きてきた中でマンションのエレベーターが来るのをこれほどまでに望んだことはない。
「お帰り!!マコちゃん!」
玄関を開けると即座に抱きついてくるロリお母さん
まじでやめて、尿と一緒にいろんなものが出ちゃうから!
「お母さん?トイレ行きたいんだよね!邪魔だからそこら辺の幼稚園に通ってきな?」
「お母さんは幼稚園児じゃないもん!
マコちゃんの母親だもん!!」
「今、そんな冗談に付き合ってる暇無いから!!
まじで高校生にてお漏らししちゃうから!!!」
「それは大変だ!一緒にトイレに行こう!!」
早く何とかしないとコイツは駄目だ。
とりあえず無視して俺は全力ダッシュでトイレに入った。
「ふは〜、危なかった。俺の肩書きにお漏らしが付け加えられなくて本当に良かった〜………はい?」
目の前に広がる森。トイレを出たらサ◯ウのご飯並みの驚きだ。いや!?待てよ!!!いつから俺の家は森になったんだ?俺はエルフか!あのロリババアならやりかねないのが怖い。もう一度トイレに入って考えようと俺が後ろを振り向くとそこにはトイレなどなくただただ森が広がっている。
「これは……アレだ。夢だ……んな訳無いよなぁあ!!!」
いきなり白昼夢に侵される程俺は疲れてなかったし
この生々しい草の香りが夢では無いと言っているようだった。
「待って、待って!状況確認しよう?
家帰って、トイレ入って、森……意味わかんねぇええ!!!!」
まるで異世界の様だが、こんな日常の一コマに挟んで来るほど異世界だって暇じゃ無いことを願いたい
「確かに可能性って無限大だね!すごいね!よくできました〜!はなまるあげちゃう!じゃねぇえよ!」
俺はその辺にあった木の枝を投げつけ、怒りと戸惑いを発散させる。
「これからどうすんの?俺ぇえ!?
装備スマホ、制服、スリッパっていう安心の高校生だね!だぞ、こんな装備で一体何をせぇゆうんじゃい!」
発散し切れなかったようだ。
「待てぇい!スマホぉ!おまえがあれば連絡とれる筈だ!!ここがあのロリババアが一瞬でレイアウトした部屋の中でありますように!!」
そして俺はラインを開くが今更ながら誰のラインも登録してなかった事実に気づき、そういえば俺ライン開いたの初めてかも、てへっ♡初めて友達作っとけばよかったと後悔した。まあ、なんか電波も届いて無いっぽいし、意味ないけどね。自分のボッチを再確認しただけの結果となった。
「いや、まじでどうすんのさ!なんか強いスキルとか持ってる訳ないし!この世界の金も現世の金もバックに入ってて持ってないし!死ぬ奴死ぬ奴!!」
「だがだが!転移したらこの辺に転移させた元凶もいるかもしれないし!俺を助けてくれる救世主様に会えるかもしれないし!ここは散策しよう!」
木漏れ日が射し込む森の中。
まるでハイキングコースを歩いてる様なのどかな感じだ。本当に異世界なの?と疑問を持つほどだ。
ん?なんか森が開けてきた、草をかきわけると目の前には泉が広がっていた。そして可愛い女の子の裸体が……
いや!テンプレ過ぎでしょ!!水浴びしてる女の子とか、だが今の俺にとって救いの女神!!!でもどうやって話しかければ良いのだろうか………無理だろ、だって裸の女の子にやあ!僕の救世主様、助けて下さいって言える?どんなリア充でも無理でしょ
「そこの男!なんでさっきからじっくりと私の身体を見ているんだ!」
おっと、気づかれちゃいましたね。
まあ、だからと言って顔を背ける気はゼロだ。
「君は知らないのか?女の子の裸体があったらじっくり見るのが男だ。」
「そうなのか!?」
ふっはは、俺に恥じらいは無いぞ!
ここがリア充と非リア童貞根暗ボッチとの違いさ
「でも、あの……恥ずかしい」
と金髪の女の子は恥じらいで顔を赤らめる。
うむ、眼福です!異世界来て良かった!
「何言ってるんだ、こんな泉で身体を洗う様なビッチが」
「ビッチじゃない!!汗かいていたのだから水浴びして何が悪い!!」
え、てことは全国水場旅行とかやれば大量の女の人の裸体を見る事が出来るという事か、よし絶対に行こう!!
選択肢無限?バッカじゃないの(嘲笑) ヒロくん @shimizuhiroto
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。選択肢無限?バッカじゃないの(嘲笑)の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます