#03

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 目に見えない舞台で敗北した男の話をいずれ書こうと思う。僕にサクセスストーリーは書けないしね。書こうと思っているんだよ。「……ある日の夜、僕は駅前で酔った外国人をパトカー2台と7,8人の警官が彼の宿泊先であるホテルまで同行したのを見た。彼は駅で迷って途方に暮れていたらしいのだった。それにしても無駄に大勢で来たと僕は思った。彼の目的のホテルに着いたと分かった時に僕は若いお巡りさんが浮かべた中途半端な笑顔を見た。嫌な気分だ。僕はその大勢の到着で呆気に取られた。外を見るとパトカーが2台、赤と青のランプをチカチカ光らせている。彼に鍵を渡した。『お疲れ様です』『おやすみなさい』周りで口々にそういう言葉が発せられた。それから僕は同じ夜番のシフトと何事だったろうと言い合った。……」ある日、僕の手元にこんなファックスが届いた。文面を眺めてみても何の事か僕には分からない。誤送かあるいはいたずらだろうと判断した。それをクシャクシャにしてゴミ箱に捨てた。

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