暁の勇者タケルと悪の帝王ハーシュハイザー

あきらさん

第1話

「ふはははは〜! そう! 我が名は悪の帝王、エルドリック・ハーシュハイザーだ!!

 俺の事を魔王だの海賊王だのと言う奴がいるが、俺は帝王! 帝王切開の帝王のハーシュハイザーだ!!」


 何か、エロ天才医師みたいだな……

 いや、今はそんな事を言っている場合じゃない! 早く、私の妻であるエリーザを助けなくては!!


「ハーシュハイザー!!我が妻、エリーザを返せ!!」


「なんだ貴様は!? いや……君の名は!?」


「そこは言い直さないでいい!! お……俺の名はタケル! 暁の勇者、たけのこ タケルだ!!」


「タケル……タケル? どこかで聞いた名だな……。そうだ! 思い出したぞ! タケルといえば、御飯だな!!」


「たけのこの方ね!! それ、名字の方だから!! かなり自分でも気にしてんだから、名字の方はいじるんじゃない!!」


「そうか! たけのこ タケルか! 思い出したぞ!! 確か、たけのこ タケルといえば、犬の散歩をしている途中で凶悪なモンスターに出会い、なんだかんだしているうちに、豪邸を建てた奴の名が、たけのこタケルだったと思ったが……」


「話が、ざっくりしすぎ!! 『なんだかんだ』の部分で何が起きたの!? 起承しかないよ!!転がない転が!! あと、いちいちフルネームで呼ぶな!!」


「そのたけのこ タケルが、何でこんな雪山の山頂に、犬を連れてレオタード姿で現れたんだ!?」


「お前が呼んだんだろ!! 私の豪邸に送って来たこの脅迫状に、そう書いてあったから来たんだ!! そうしないと、エリーザを返さないって、お前が書いたんだろ!!」


「それは俺が二年前に書いた脅迫状だ」


「お前、二年間もここに居たの!? っていうか、俺は二年間も妻が拐われた事に気付かなかったの!? 俺もバカじゃん!!」


「それより、この辺でエリーザを見なかったか?」


「逃げられたの!? 早速!?」


「タケル~!助けに来てくれたのねタケル~!」


「エリーザ!! って、20㎏くらい痩せてるし、坊主頭になってる!!」


 もはや拐われる前の原型をとどめてない!!


「っていうか、何でお前達二人もレオタード姿なんだよ!! 我らキャッツアイか!!」


「たけのこ タケル! お前みたいな泥棒猫にフリーザは渡さん!!」


「なってるけどね!! 痩せすぎて坊主頭だからフリーザみたいになってるけど、人の妻をフリーザって呼ぶんじゃない!! 失礼にも程がある!! っていうか、エリーザも爆笑してんな!! 自分がいじられてんのに、おもろい、おもろいとか言ってんじゃない!!」


「たけのこ タケル……私の負けだ」


「何で急に負けた!! お前、もうエリーザいらなくなったんだろ!!」


「…………」


「そうなんだろう!? イメージ変わり過ぎて、興味なくなったんだろ!?」


「…………」


「犬を連れて、帰ろうとするんじゃない!! エリーザもずっと爆笑してんじゃなーーーーーーーい!!!」

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暁の勇者タケルと悪の帝王ハーシュハイザー あきらさん @akiraojichan

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