第3話 あんず、『よげんの書』を見つける 3

 もう少し、ミコちゃんの説明をすると、ミコちゃんはいつも本を読んでいて、外国のお話もたくさん知っているって子なんだ。冒険ものや、ミステリー、最近は恋愛ものだって好きなんだって。


 お昼休みには、いつも図書室にいって本を借りているし、近所の図書館でもたくさん借りているらしい。週末にお母さんと二人で、図書館に行くことが、お買い物をするより楽しみなんだってさ。


 家に遊びに行ったときも、部屋にミコちゃん専用の本棚があって、ずらりと小説ばかりが並んでいた。あたしの部屋にも、本棚はあるけど、入っているのは、絵本やマンガ。小説もあるけど、お母さんが置いただけで、ほとんど読んでいないものばかりだ。


 だって、世界の児童文学全集とか、読みたいって思う? あと、日本の児童文学全集もあるけど、こっちは日本語なのに日本語じゃないみたいだよ。読めるけど、読めない、みたいな。


 でも、ミコちゃんは読める子。

 ミコちゃんもマンガを読むらしいけど、同じくらい小説も好きなんだって。


 今は吸血鬼が主人公のシリーズにハマっているらしい。あたしも、「おもしろいよ」って、すすめられたけど、数ページでいやになっちゃった。表紙の絵はかわいかったけど、それだけで、あとのページは字ばっかりだったんだもん。


 あたしは、図書室でも、絵本とかゲームブックばかり借りている。まちがい探しとか、アイテム探しとか、そういうのが好きなんだ。字をたくさん読むのは苦手。途中でどこまで読んだかわからなくなることが、しょっちゅうある。


 本を読むのって、読書感想文を書かなきゃいけないときくらいだな。あれも苦手なんだけど、あらすじで行数をかせいでなんとかしている。ミコちゃんは得意で、賞をもらったり、校内放送で読まれたりしているから、秘けつを教えてもらったんだけど、やっぱり苦手は苦手だ。


 だから図書室にいっても、すぐにヒマになる。一人でシマシマなおじさんやアイテム探しをしてもつまらないしね。ああいうのは、たくさんで競争しながらの方が、ぜったい楽しい。ゲームブックや珍しくハマったシリーズものも、図書室に置いてあるのは全部読んじゃったし。


 でも、一番仲良しのミコちゃんにつきあって、この日も図書室でフラフラしてたんだ。それで、ミコちゃんからはなれて、他の棚のスペースを見ているときに、あの『よげんの書』を見つけたってわけ。

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