ーエピローグー
集う幼き力達
「アタシの【
そう宣言したアーエルちゃんは、私も見た事がないほどに輝いていました。
ここはアーエルちゃんが日本へ滞在するために、ヴァチカン側が用意したあちらさん所有の高級マンション。
女子会と言う名の祝賀会開催てな訳で、アーエルちゃんの許可も無く?突撃訪問しちゃいました。
断罪天使な彼女が仮に住まうとは言え、何たる無駄なだだっ広さ―― 一人でここに住まうはさぞ虚しかろうと、
けれどアーエルちゃんにとっての記念すべき日から、僅かに時を置いた今日と言う日――いつも以上の大量のお菓子やスイーツに甘いドリンクを持参し……今もテーブルへ所狭しと並べ立ててている所です。
さらには、アーエルちゃんが先の護衛任務中に仲良くなった……英国は【
ちょうどシャルージェルさんが、アーエルちゃんにお世話になった事でそのお礼をと——まさに利害関係一致の上での、サプライズ登場をして頂きました。
「ああ……それにしてもよ。いつの間にこう——アーエルちゃんまでお姉様属性と言う……百合っ百合なアレを手にしてたの?いや、本当にこれはテセラちゃんもオコだ——」
「——ぶふぉぉっ!?」
と口にした私を、もうすでに三度目の強襲でお菓子の機関砲がばら撒かれ……またもお盆を盾にとって凌ぎます。
と言いますか……もう
「アーエルちゃん……だからキタナイから……。お約束もさすがに三回目はメッチだよ?」
「う、うるさいし!?ごほっ……くっ——てなんでアセリアまでもドサクサで笑ってるのか……説明が欲しい所だな!?」
「いえ……フフフッ——こんなに砕けた気分でお茶会を楽しんだ事なんて、今まで一度も無かったもので……。それに——お姉様がなんだか可愛く見えて——」
「ファッ!?か、かかか可愛いとか……何言ってるんだしっ!?」
「あ~~ハイハイ、ごちそうさまや……もう百合っ百合はお腹いっぱいやて……。」
下へと広がる金の御髪に先へカールが掛かる、ちょっとキツめの双眸でアーエルちゃんを慕う……アセリア・ランスロット・ベリーリアさん——
聞けば彼女も、御家の当主の名を背負う身分——それだけでも親近感がMAXな感じです。
それに仕え続けてはや幾星霜な侍女さんは、見た目では年齢の想像がつかない程に生きた特殊な生命系の方——宗家で言う所の、裏の汚れ仕事が主であるのを……彼女の雰囲気から察するも、努めて普段通りに接しています。
きっと彼女の生い立ちは、私のために人生を賭けた
そんなシャルージェルさんも先ほどから、少し分かり難くもありますが……口元が緩み、とても楽しんでくれている様に感じます。
そしてせっせと、撒き散らされた
それを撒き散らした当の天使様は、悠々とお菓子を頬張ってるのに……。
と思考していた私の携帯端末……鳴り響いたメロディの宛名を確認し、「来たっ!」と反応し——
「お疲れ様っ、ハルさん!引き継ぎは終わった?」
『はい!こちらも先ほど、
「そうなんだ——って……もう来てるみたいだね(汗)思いっきりマフラー音がガオッ!て響いたよ?」
『あ~~えへへ、すいません。』
「なんやなんや~~?こっちもサプライズ登場おすな?楽しゅうなって来ましたな~~。」
端末先先に響いたのは他でもない、私の新しいSP見習いとしてお仕事引き継ぎを受けていた
「ここで皆さんにお話があります!私クサナギ
端末をスピーカーモードに切り替え——テーブルの上に置いた私は高らかに正式に宣言し——
「そして今爆音と共に参上した私の、ドリフトスクールのお友達にして——私の護衛に着くSP見習いである、少し年上で素敵な女の子……
『えっ!?ちょ……当主様!?これもしかしてスピーカーにしてません!?——ダメですそれっ、恥ずかしいですってば!?』
「「「おおお~~!」」」
私の宣言に加え、携帯端末から響く慌てた声を耳にした皆がパチパチと拍手を沸かせます。
確かにアーエルちゃんの称号会得は喜ばしき事――しかし同時に自身も、クサナギ家に於ける当主の座を正式に継承した身……さらにはお友達であるハルさんが、念願の宗家分家へと昇格を果たした記念すべき日でもある訳なのです。
そして――
当の本人は口にはする気配もありませんが……これから一番大変な試練が待ち受ける者――
そうです……
事と次第は
「ほらほら、ハルさん!早くしないとお菓子やスイーツが遠くへ行ってしまうよ?」
『あひ~~!?そんな、スイーツが無くなるなんて聞いてません!そんな女子会認めませんよっ!?』
「「あひ~~!?」って……大丈夫か?あんたの新しいSPは……(汗)?そして今気付いたんだけどな――」
「――
「「気付くの遅っ!?」」
今はまだ一時訪れた、失いたくは無い日常――そしてテセラちゃんやレゾンちゃんが、再びこの地球を訪れるその時まで……絶対に無くしたくない日常。
ここに集まる皆は、そこに時期的……情報的差異はあれど――それぞれ一様に、同じ想いを抱いて集まります。
断罪天使も、英国令嬢も――それに仕える侍女さんに、私と……同じ世界に足を踏み入れた円城寺の希望も――
そして口にはしない……けれどその重き気配を十二分に感じ取っている少女――
この世界を救うために世界から追放された、かの悲劇の英雄の忘れ形見である
蒼き地球はこれより、歴史上最も厳しい時代を迎えます。
「遅くなりました~~!あの、自己紹介が遅れましたが――」
「ああ、ハルさんいいから!さぁこのコップを持って!」
「ふぁっ!?あの――私の自己紹介が……――」
「まぁ乾杯の後でええんちゃう?」
「そうそう。あんたの人となりだけなら、さっきの会話で筒抜けだし?」
「そんな~~ここは順序と言う物が~~(涙)!?」
開いた扉から息を切らして現われた、二房のお下げと艶やかな黒の御髪のお嬢様――私の新しいSPさんを迎えて……並々注いだドリンクを皆で掲げ――
「ほな……女子会と言う名の祝賀会改め、当主継承祝いと分家昇進祝いを含めた女子会二次会として――」
「「名前長いっ!?」」
「乾杯や~~!」
「「「かんぱ~~い!」」」
ささやかな一時と――そして程なく訪れる、因果の再会。
その全てがこれより、たった一人の少女の背負う……想像を絶する試練幕開けの引き金となる様に――
今はただゆっくりと……その時を刻んでいたのでした。
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