そういえば、子供の頃、もしもお友達ができなかったらどうしよう? と、不安がいっぱいだったような?
大人になれば、親友などというものはなかなかできるものではなく、どこか、割り切っていたり、趣味や仕事仲間といった意味合いが強くなるのだけれど……子供の頃、単なる遊び相手がもっと重大だったように思います。
この作品には、おそらく普通の子供である「僕」……普通に家族に愛されていて、普通に友達もできるだろう……の、それでもどこか満たされない孤独、不安が垣間見えて、じんとしました。
その部分が、単なる一夏の不思議体験話では終わらない、心に響く、何か温かな読後感を与えるのでしょう。
キラッとしたものを感じる作品だけに、田舎の情景が目に浮かぶような、つい、子供の頃を思い出して懐かしさに目頭が熱くなるような、何かが欲しいと感じました。
原石をもうひと磨きできそう。次作に期待して星残しておきます。