エピローグ

 誓い

「ただいま」

 そういって屋敷のドアを開けると『おかえりなさい旦那様』と言って、お腹の大きくなったファムさんが迎えてくれた。

「子供用の服とお風呂、それに紙おむつとか色々買ってきたよ」

 両手にぶら下げている物を見せるとファムさんが呆れたように俺を見つめて溜息を吐く。

「全く、予定日はまだ先なんですよ? それにさっきフレイも同じような物を買ってきて『お姉ちゃんって呼んだ貰いたいなぁー♪ 俺が買ってきた服、似合うかな?』って嬉しそうにしていたんですよ」

 そう言いながら俺の持っていた紙おむつを受け取り寝室に運んでいく。

「早く生まれてこないかな……。病院に行ってきたんだよね? どうだった?」

 そう尋ねるとファムさんは慈しむような目でお腹を摩りながら『女の子みたい』と言って嬉しそうにしている。

「そっか、嬉しんだけど男が俺一人か……。でも家族が増えて嬉しいからそんな些細な事どうでもいいや!」

 俺は領主として領民を守り、一家の大黒柱として家族を守る……。昔、守り切ることが出来なかった大切な物、今度は俺の命にかけて絶対に守り切る。心にそう誓って、俺はフレイと一緒に料理をする。


「妊婦さん用の料理ってコレでいいんだっけ?

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勇者だった俺は反逆罪で殺されたことになり魔王軍で領主として働くことになりました 兎神 入鹿 @Destiny

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