第2話 いちばん最後に

 あれからと言うのも数時間後。アラームが鳴り起床時間を知らせてくる。

閉じかかる瞼と重たい身体を動かす。


 色々と考えた結果。やっぱり答えは決まってた。キミの声が聞きたい。そして、自分の声で伝えたい。








 時は来た。

電話帳にあるキミの番号を探し、発信ボタンを押す。


 3コールが過ぎた。

「・・・出ない・・・。」

留守番電話に繋がるかと思った。

「もしもし?」

「出た。」

「ごめん。丁度、手がいっぱいで。」

最もらしい答えにも色々な考えがよぎってしまう。

それで、どうしたの?こんな時間に。本題だが、痛い所を付かれた様に心臓がドキリとした。

「えっと、さ。あの・・・お誕生日おめでとう。」

「うん。ありがとう。メッセージくれたじゃん?」

「そうだけど。一番に送れなかったし、直接伝えたいなって思ったから。」

「そうなんだ。ありがとう。」


少しの沈黙が流れた。


その沈黙を破ったのは、あなただった。

「でも、何でこんな時間に掛けてきたの?」

当然の質問をされた。

「いや・・・一番最初になれなかったし、今までお祝いしてただろ?だから、最後を飾ろうと思って。・・・お誕生日おめでとう。」

「・・・そっか。これが彼氏だったら最高に嬉しいんだけどなぁ。」

そう。キミとの最大の壁。

「悪かったね。来年までに彼氏を作っときな。・・・絶対だぞ。」

「えぇー、絶対は無理だな。」

笑いながら話すキミ。これでも、「キミを奪いにいく」という宣戦布告をしたんだが。気にもしていないだろう。




 今年のキミの誕生日まで、後2ヶ月と少し。

キミが最高の誕生日を迎えれてますように。

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いちばん最後に さち @k3t2mys

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