大いなる力を持ちて魔を倒し、人々の暮らしに末永く安寧を与えた伝説の勇者がいた。
彼は幾多の困難を仲間と乗り越え、大きな、とても大きな絆を育んできた――つもりだったのに!
転移ゲートはもう開いている。
お持ち帰りか? それとも異世界に留まるのか?
残り時間は僅かで、選択する余裕も時間も少ないが、
どちらにしても勝ち組の流れに乗った俺最高――だと思ってたのに!
倒した魔王は美少女、この世界へ転移させてくれた女神も美人。
なんならこいつらでも良いわ――と上から目線で構えてたのにっ!
まあ良い、全ては終わったことだ。
ここから新たな俺伝説が幕を開けるんだ、と気を取り直して現代へと帰還した勇者に待っていたのは以前と変わらぬゴミクズみたいな生活だった――まで見える痛快ショートショート。